エンタメ

夏ドラマ13本を総ざらい。テレビマンが注目する“ホントの評価”を視聴率から分析

中高年以上の支持が集まる職業ドラマ

転職の魔王様

『転職の魔王様』番組公式HPより

《職業ドラマ》 ■「転職の魔王様」(フジテレビ系、制作・関西テレビ、月曜午後10時)     24日、個人2・9%(世帯5・2%)T層1・7%、F1層1・5% ■「シッコウ!!~犬と私と執行官~」(テレビ朝日、火曜午後9時) 18日、個人5・4%(世帯9・2%)T層0・5%、F1層1・8% ■「トリリオンゲーム」(TBS、金曜午後10時) 21日、個人3・2%(世帯5・6%)T層2・1%、F1層2・2% 『転職の魔王様』の主人公は来栖嵐(成田凌)。転職支援会社の辣腕アドバイザーだ。求職者に歯に衣着せぬ言葉を浴びせることから、冷酷な男と思われている。しかし、本当は求職者を転職で失敗させたくないから、ストレートな言葉で助言しているだけで、やさしさを秘めている。単純に転職をテーマにした作品と思っていたら、人生の立て直しを描いている。見応えがある。 『シッコウ』は各地方裁判所に所属し、強制執行などを行なう執行官の物語。執行補助者・吉野ひかり(伊藤沙莉)が主人公だが、執行官・小原樹(織田裕二)のほうが目立つと指摘され続けている。  しっかりした作品であるものの、55歳の織田が中心に見える上、執行官の世界には硬いイメージがあるようで、若い世代にはあまり観られていない。一方で中高年以上の支持は厚い。 『トリリオンゲーム』は若き起業家・天王寺陽(目黒蓮)平学(佐野勇斗)が、1兆(トリリオン)ドルを稼ぐまでの物語。2人に出資するのが腕利きの投資家が祁答院一輝(吉川晃司)。金が絡む物語はいやらしくなりがちだが、ひたすら明るい。

『ハヤブサ消防団』は理想的な評価

《ミステリー&サスペンス》 ■『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日、木曜午後9時) 20日、個人5・5%(世帯9・4%)、T層3・1%、F1層3・0% ■『最高の教師  1年後、私は生徒に■された 』(日本テレビ、土曜午後10時) 22日、個人3・3%(世帯5・8%)、T層2・2%、F1層3・0% ■『CODE-償いの代償-』(日本テレビ、制作・読売テレビ、日曜午後10時半) 23日、個人3・4%(世帯5・9%)T層1・5%、F1層2・2% 『ハヤブサ消防団』は若者から年齢の高い視聴者まで幅広く観られている。理想的だ。ドラマ界では数少ない正統派ミステリーであるところが良かったのだろう。
ハヤブサ消防団

『ハヤブサ消防団』番組公式HPより

 主人公はミステリー作家の三馬太郎(中村倫也)。東京から地方のハヤブサ地区に移り住み、誘われて消防団に入ったところ、連続放火事件や怪死事件に巻き込まれる。ミステリーと謳った作品のほとんどにはストーリーにキズや誤魔化しがあるが、この作品は違う。 『最高の教師』は高校教師・九条里奈(松岡茉優)が主人公。荒れ果てた教室を、体を張って立て直そうとしている。最近では珍しく、硬派な教育ドラマだ。こんな作品もあったほうがいい。 『CODE』の主人公は暴力団対策課の刑事・二宮湊人(坂口健太郎)。犯罪も含め、何でもやってくれる謎のアプリ「CODE」をめぐる物語。
次のページ
爽やかな作風の『ばらかもん』
1
2
3
4
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

記事一覧へ
おすすめ記事