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「“神物件”だと思ったのに…」暴れる高齢者、多発するボヤ騒ぎに疲弊…元住人が語った団地生活の実情

闇バイトの“叩き”に加担する団地2世外国人

 また、外国人の入居率が高い団地では、彼らとの共生が課題となっている。一方、団地住まいの外国人夫婦のもとで生まれた“団地2世”の子どもたちは、親世代よりも地域社会に溶け込みやすい。 「そんな“団地生まれ団地育ち”の外国人が地元の不良とつるみ闇バイトに手を出す事例もあります」  そう語るのは、20年近く団地をルポし続けるライターのA氏だ。 「地方や首都圏の郊外の一部地域の不良コミュニティが、半グレ組織の構成員から闇バイトの仕事を請けるケースもあります。その不良グループに属する外国人、特にブラジルや中国・東北地方の血を引く体格のいい若者は“叩き”要員として、拉致や強盗などの実行犯に駆り出されることが多い」  叩き要員は闇バイトの中でも逮捕リスクが高く、一度お縄にかかると地元でその名が知れ渡る。それが「外国人はガラが悪い」という印象に繋がっている。 「治安が悪いというイメージを払拭しようと、積極的に地域住民と交流を図る団地もあります。外国人入居率の高い、ある団地が祭りを企画したら、地元の神輿隊のメンバーが全員入れ墨だらけで、ガラの悪さが余計に際立ってしまったという逸話もありますが(笑)」  多文化共生の道は険しい。

朽ちていく団地を再生させる手立てとは?

『ルポ[日本の絶望団地]』団地の例

※写真はイメージです。本文と関係ありません

 このまま団地が崩壊していくのを黙って見ているしかないのか。団地の存続について、住宅・土地アナリストの米山秀隆氏は次のように語る。 「空室の増加から、外国人や低所得者を呼び込む団地が増えていますが、ただ、こうした団地は最終段階の一歩手前のステージにあります。彼らからの需要がある限りは生きながらえることができますが、本質的な解決にはなりません」  本格的な再生のためには、「脱高齢化に向け、ファミリーや若者に入居してもらい、住民の新陳代謝を促すしか方法はない」と米山氏は言う。 「ほとんどの団地は郊外にあるため、決して立地はよくありません。しかし、敷地面積的に建て替えの余裕がある団地も多く、リノベーションをするなどしてまずは行政が積極的に若者世代の人口誘致に動くべきです」
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住民が自分事化しなければ再生の見込みは薄い
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