更新日:2023年08月24日 12:48
スポーツ

「八村塁がいなくても勝てるの?」難題に挑むバスケ日本代表

かつてのサッカー日本代表の歩みに似ているが…

バスケ ワールドカップ

2大会連続2回目の出場となる渡邊雄太は覚悟を持ってワールドカップ参戦を決めた ©FIBA.com

 ここまでの日本代表の歩みは、Jリーグができた頃のサッカー日本代表と非常によく似ている。アジアのライバルに遅れを取った過去から、国内リーグの活性化で選手個々のレベルが上がり、海外に活躍の場を求める新しい世代のタレントが出現して、世界と渡り合うだけの実力を身につける──。  サッカー日本代表は1998年にフランスで開催されたワールドカップに初出場し、このときは3連敗を喫した。だが、2002年の日韓ワールドカップではブレイクスルーを果たした。バスケ日本代表にこれを当てはめると、東京オリンピックがブレイクスルーの大会になるべきだったが実現できなかった。  アジアでは戦えるようになったが、世界で勝つにはまた別のレベルアップが必要となる。ここで日本代表が選んだのは指揮官の交代であり、それによりバスケのスタイルを変えることだった。

トレンドは「個の力」よりも「組織力」

 東京オリンピックまでヘッドコーチ(HC)を務めたフリオ・ラマスは、高さとフィジカル、個人能力を重視した。その象徴である八村塁をチームの中心に据え、他の選手には彼に合わせるプレーを求めた。しかし、八村はNBAで有望な若手ではあっても、チームを背負うエースではない。世界のバスケのトレンドは個の力よりも組織力に変貌しており、タレント力で他国を圧倒するアメリカ代表でも世界大会で負けることがある今、八村塁ひとりの個人能力で勝つこと自体に無理があった。  こうして日本は方針転換をする。新たな指揮官に、東京オリンピックで女子日本代表を銀メダルへと導いたトム・ホーバスが就任。日本のバスケを熟知し、通訳なしで選手とコミュニケーションが取れ、高さではなくスピード、強さではなく3ポイントシュートのバスケを志向する。女子日本代表で結果を出した『ペース&スペース』のバスケを、基本部分は変えることなく男子日本代表へと持ち込んだ。
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八村塁の持ち味は現チームにフィットしない?
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フリーランスのスポーツコンテンツエディター。Bリーグ創設の2016年に立ち上がった日本最大級のバスケットボール専門メディアの専属ライターおよび編集者として取材を行い、Bリーグ、Wリーグ、日本代表、高校バスケや大学バスケなど幅広くバスケットボールを取材。今もバスケを中心に多くのスポーツコンテンツ制作を手掛ける
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