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全国の水族館に“わずか3頭”しかいないラッコ。輸入も繁殖も難しい…それでも諦めない人々の思い

「ラッコは喜怒哀楽がある動物。一生飽きることがありません」

 それでも石原さんは、決して諦めたわけではない。 「飼育員を育てるためにも、飼育をし続けることが重要です。アメリカからの輸入も視野に入れ、そのためにできることを進めています。ラッコは喜怒哀楽がある動物。一生飽きることがありません」  10月にはラッコ飼育40周年を迎える鳥羽水族館。この先も飼育が続くことを前提に、京都大学野生動物研究センターでラッコについて研究する三谷曜子教授らと連携を取る。

水族館の課題は山積み…「ラッコと共にどう生きるか」

[日本からラッコ絶滅]の危機を救え!

京都大学野生動物研究センターの三谷曜子教授。「ラッコは取った餌を海面で食べるので、餌が全部見られておもしろい」

 同館を取材後、三谷教授にも話を聞いた。  北海道の太平洋沿岸に生息する野生ラッコの保全について、「まずその生態を知らないと何もできません。どういう餌を食べ、どういう生息地を選んでいるのか。海洋環境の変化に合わせ食べている餌も違うとわかりました」とラッコ観察を続けている。 「一頭に対してどのぐらいの水族館のスペースが必要になるのか。それをクリアするのが難しい。水温が冷たくないといけない、毛が抜けてしまうのでろ過が必要、高カロリーの餌を食べないといけないので餌代や電気代などコストがかかる。それでも水族館の目玉になりペイできればいいが、それはわからない」と水族館の課題は山積みだ。  それでも“ラッコの未来”を石原さんらと探っている。  ラッコと共にどう生きるか。真剣に取り組む人たちがいる限り、私たちの目の前からラッコは消えないはずだ。 取材・文/橋本範子 吉岡 俊 高石智一
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