全国の水族館に“わずか3頭”しかいないラッコ。輸入も繁殖も難しい…それでも諦めない人々の思い
いつでも会えると思っていた。でも気づけばラッコを愛でられる水族館は日本に2館しかない。なぜそうなったのか、これからどうなるのか、最前線をリポートする。
「水族館の飼育ラッコが急に3頭になったわけではない。10年以上前からこうなることはわかっていたんです」
三重県鳥羽市の「鳥羽水族館」で40年間ラッコの飼育を担当する石原良浩さんは、ラッコの数が減少した現状に対し淡々と語る。
現在、国内のラッコ飼育数は同水族館で飼育するメスのメイ(19歳)とキラ(15歳)の2頭のほか、福岡県福岡市の「マリンワールド海の中道」のオス1頭のみだ。
ラッコを直に見られるのは貴重とあって、同館への取材当日は台風が接近しているにもかかわらず大勢の人々が訪れていた。
なかでもラッコの水槽前は終始人だかりで「かわいい!」という声が飛び交う盛況ぶり。
名古屋から来たという20代女性は「ラッコを見られるうちにいっぱい見たい」と話す。
同じく40代男性も「SNSでラッコが絶滅危惧種だと知った」と、来館者の多くが日本の水族館からラッコが減っていることをニュースで見聞きして駆けつけたようだ。
では日本のラッコ激減の理由とは。それには輸入や繁殖の難しさなどラッコ特有のさまざまな要因が挙げられる。
そもそもラッコは3種の亜種(カリフォルニアラッコ、アジアラッコ、アラスカラッコ)がいるが、18世紀初頭から毛皮目当ての乱獲により絶滅寸前にまで追い込まれてきた歴史を持つ。
さらに1989年にはアメリカで大規模な原油漏れ事故が発生。これによりラッコが数千頭単位で犠牲となった。
そして国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に指定されたのが’00年。現在、ワシントン条約による国際的な取引の規制で輸入には縛りがある。
日本は’03年にロシアからやって来たラッコを最後に、輸入は途絶えたままだ。
「ラッコを見られるうちにいっぱい見たい」台風接近中も大盛況
日本のラッコ激減の理由とは…
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