更新日:2023年09月20日 00:18
仕事

覚せい剤を「予備校の先輩にもらった」…ヤクザから弁護士に転身した“元神童”が歩む異色の人生

親分から「シャブを抜け」と指示されるも…

 覚せい剤が身近な存在になると、自身で試す機会が増える。抗いがたい薬物への欲求との戦いが始まった。覚せい剤は神経を興奮させる反面、抜けると虚脱感から日常生活もままならないことがある。 「親分のカバン持ちの仕事があるのに時間を守れなかったり、迎えに行っても身なりが整っていなくて心配される始末でした。とうとう親分から『シャブを抜け』と言われて1週間近く事務所で過ごしましたが、その間にも仲間にこっそりもらったりするような、駄目なヤクザに成り下がっていました。  あくる日には、渋谷のスクランブル交差点では服を脱ぎ、傘を振り回して“交通整理”をやっていたそうです。まったく記憶にありません。そこから、精神病院への措置入院が決まりました

ヤクザを破門され、資格試験の勉強を開始

 東京の精神病院を退院したあとも、諸橋氏はさまざまな問題を起こして地元の精神病院に措置入院することになった。その間に、慕っていた親分から破門を突きつけられてしまう。ヤクザで成功する夢は潰えた。 「本当にショックでした。ただ、そのときにちょうど宅地建物取引主任の勉強に着手したんです。同じ資格を持っていた母親の影響もありましたし、医師からも『クスリじゃない趣味を持って』と薦められていたからです。  また、極妻から弁護士になった大平光代先生の存在を知り、彼女もまた宅建の勉強から始めたことに縁を感じました。大平先生の著書『だから、あなたも生きぬいて』(講談社)はバイブルです。自分も本気で勉強して、司法試験に挑戦しようと思いました
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「アンチのおかげ」で頑張り抜けた
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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