更新日:2023年09月15日 14:05
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「生まれたことを詫びろ」ブラックすぎる医療現場の実態。研修医の手取りは“5000円”、当直時は“39時間連続労働”も

「医師の働き方改革」で現場がよりブラック化!?

ブラックな医療現場

「医師の働き方改革」適用後の労働時間の上限

 ’24年4月から適用される「医師の働き方改革」。これにより、医師の労働環境は改善されるのか。六本木のVeary Clinic院長の井上裕章氏は「制度だけ定めてもうまくいかないと思います。なにより変えなければならないのは、現場の空気感」と話す。 「医師の世界は特殊で、激務で薄給でも人の命を救いたいという使命感からくる自己犠牲の文化があり、患者がいる限り働くのは当たり前。自ら進んでセルフブラックを行う医師も多く、そもそも『自己研鑽』は残業だという意識すら薄い。それが現場における常識だからです。  傍から見れば、こうした労働環境が原因で過労自殺が起こっていることは明らかなのに、中にいるとそんな当然のことにすら気づかなくなっていきます。だからこそ根の深い問題なのです」  井上氏は、「医師の働き方改革はむしろ逆効果になるかもしれない」と危惧する。 「時間外労働を改善するには出勤を完全当番制にするなどが考えられますが、医師側がまずそれをしたがらない。直接、患者の顔を見たいという理由もありますが、研修医などはそもそも薄給なので、他院での当直バイトが制限されるとお金がなくて生きていけなくなるからです。給料を固定するなどの抜本的な対策がなければ、結局はサービス残業が増えるだけでしょう」  さらなる改革が求められる。

医師界隈を知る5つのパワーワード

①医局:大学医学部と付属病院の診療科、研究室ごとに組織される、教授を中心としたグループ ②自己研鑽:診療など業務の傍ら、自らの知識の習得や技能の向上を図るために行う学習、研究のこと ③オンコール:急変時や救急搬送時、呼ばれればいつでも対応できるよう勤務時間外に待機すること ④泥医:常勤勤務医からドロップアウトし、非常勤などで生計を立てる医師を指すネットスラング ⑤メジャー:内科、外科、産婦人科、小児科など医師の花形とも言われる科だが、労働環境は過酷
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麻酔科専攻医・りん先生

【麻酔科専攻医・りん先生】 医師歴6年目、麻酔科4年目の女医。Xやnoteで「若手医師でも医局に縛られず働く方法」をテーマに発信中。医師のバイト事情なども公開
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Veary Clinic院長・井上裕章氏

【Veary Clinic院長・井上裕章氏】 美容外科医。東京大学医学部卒。外科での治療や美容クリニックの勤務を経て、日本で唯一の下半身美容クリニックVeary Clinicを開院 取材・文/櫻井一樹 写真/朝日新聞社・時事通信社・PIXTA
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