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池袋の“定番デートスポット”が、ラブホと「5つの寺」に囲まれている理由

新宿・渋谷と並ぶ副都心の一つ、「池袋」。近年では再開発も進み、「住みたい街ランキング」の上位に位置するなど大きな変貌を遂げている。しかし一口に池袋について書かれたものは意外と少ないはずだ。この連載では、そんな池袋を多角的な視点から紐解いていきたい。
南池袋公園

南池袋公園 ©yu_photo

池袋観光の定番スポット「南池袋公園」

池袋東口から歩いて数分のところ、居酒屋がひしめく中に、突然緑豊かな公園が現れる。そこは芝生が敷き詰められ、特徴的な建築が目を引くカフェや、豊かな造形の遊具などが置かれている。平日の昼間は、多くのファミリー連れがここで遊んでいるし、休日はそれに加えてカップルなどがデートを楽しんでいる様子も見られる。オシャレな雰囲気が一面に漂うこの公園は、2016年にリニューアルされた「南池袋公園」だ。 豊島区がそのホームページで「公園がまちを変える」と書くとおり、池袋では現在、駅周辺にある4つの公園のすべてが整備され、街のシンボルマークとなっている。それらの公園はどれも賑わいを見せているが、中でも特にオシャレで、かつ池袋観光の定番スポットとなっているのが、この南池袋公園である。

かつてはダンボールハウスが立ち並ぶ場所

オシャレなだけではない。リニューアルでもっとも変貌を遂げたのもまた、南池袋公園だった。かつての南池袋公園は、うっそうとした木々に覆われ、ホームレスのダンボールハウスが立ち並ぶ場所だった。そんな場所に転機が訪れたのは2007年のこと。東京電力から、公園の地下に変電設備を建設したいという打診があって、公園一帯の再開発が行われたのだ。それから約9年。公園自体は6年半も囲いで覆われて、その囲いが取れた時には見違える姿になっていた。 おりしも、南池袋公園がリニューアルした2016年の2年前には、池袋が「消滅可能性都市」にリストアップされ、豊島区が全力をあげて池袋のイメージアップ、街のイメージ向上に取り組み始めた時であった。そうした池袋全体の変革とも歩調を合わせて、南池袋公園は華々しくリニューアルし、都市再開発の代表的な事例としてメディアなどでも多く取り上げられることになった。
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南池袋公園の周りには「5つの寺」が…
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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