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池袋の“定番デートスポット”が、ラブホと「5つの寺」に囲まれている理由

ラブホテルや居酒屋も立ち並ぶ

南池袋公園の周辺に話を戻そう。この明るい公園の周辺には、そのすぐ横にラブホテルがあるのも気に掛かる。パッと見渡しただけでも二軒のラブホテルがあって、南池袋公園に流れる明るい空気から一転、どこかひっそりとした雰囲気を漂わせている。その周辺には居酒屋も立ち並び、かつて南池袋公園が、人が立ち入りにくい街区であったことをしのばせている。 先ほども述べたように、そもそもこの場所は戦争後に焼け野原になり、そこに闇市や様々な施設が立ち並んでいたのであった。もともとここは猥雑な場所であり、雑多なものが集まるところだったのだ。だから、そこにラブホテルや居酒屋があるのは何もおかしいことではない。むしろ、そこに猥雑なものがあることによって、この南池袋公園周辺の歴史が多層的に積み上がっている場所とさえ思えてくる。 一見すると明るいと思われる南池袋公園。しかし、その横に目を凝らしてみると、実はその街区は実に複雑で、そして池袋がたどってきた歴史の一端がそこに刻まれているのである。 <TEXT/谷頭和希>
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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