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明暗分かれた阪神と巨人。原監督の「マシンガン継投」が中継ぎ陣の弱体化を招いた原因か

「魔の7回」が決定的になった出来事

 さらに見ていくと、巨人が7回のイニング途中で投手交代をしたのは9試合。そのなかで失点をしたのは6試合にのぼる。つまり「魔の7回」には、ほとんどのケースで交代した投手が打たれて失点を重ねたことになる。  どうして「魔の7回」となってしまったのか。シーズン序盤の5回戦までは巨人は阪神に対して7回は無失点に抑えていた。それが5月26日からの甲子園の3連戦で立て続けに7回に先制、あるいは逆転されて3連敗を喫した。この頃から雲行きが怪しくなってきた。  その後、7月2日の東京ドームでの11回戦で、巨人の高梨雄平が7回に近本光司に死球を当ててから、「魔の7回」は決定的なものになっていく。この試合こそ延長12回を戦って2対2の引き分けに終わったものの、巨人は以降の14試合のうち7回に失点したのは7試合(18失点)にのぼり、この間の成績は1勝6敗と惨敗に終わった。

中継ぎ陣の弱体化を招いた「マシンガン継投」

 阪神の救援防御率は、セ・リーグトップとなる2.37なのに対して、巨人はリーグワーストとなる3.81となってしまった。背景の1つに、原辰徳前監督の継投が挙げられるのではないだろうか。  もともと原前監督は積極的に継投を行っていたほうだったが、第三次政権となった19年以降はそれがより顕著になって表れた。交代した投手がピンチを拡大させると見るや、すぐさま交代させてはピンチを脱しようとする。  19年、20年シーズンはどうにかセ・リーグ連覇は成し遂げることができたものの、21年シーズンは9月以降に失速。去年、さらには今年と中継ぎ投手の脆さを改善できずに、2年連続Bクラスに沈んだ。  今年の開幕前、優勝予想をした際、多くの野球評論家が巨人を挙げなかったのは、中継ぎ陣に弱点があることを指摘していたのも一因であるが、原前監督の「マシンガン継投」が中継ぎ陣の弱体化と大きく関係しているのではないかと、私は見ている。
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原監督のやり方では「一人前にならない」のか
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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