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大学の“推薦重視”は「お金持ち優遇のシステムだ」貧困東大生が苦言

推薦入試を重視する“大学側の事情”

大学入試 どうして、大学もAO推薦入試を重視するのか。これには、大学側の経営事情が深く関係しています。推薦入試のほとんどは、年内に受験が終了します。推薦を増やすと、大学側は、入学者の多くを年内に確定させることができます。推薦の多くは併願禁止だからです。  入学者を年内に確定させると、入学金の計算が容易になります。何人受験しに来るか、そして何人が入学するかわからない受験生から受験料をとるよりも、推薦で他の学校に浮気しない学生を確保するほうが、確実に利益が出るのです。  もちろん、学力だけでは測れない能力もあります。やる気のある学生をとるならば、推薦入試が一番です。推薦も素晴らしい入試方式ですし、なくせとはいいません。さらに、裕福な家庭出身者が有利なのはペーパーテストでも変わりません。「親がお金持ちの子どもは、親が貧乏な子供よりテストの成績がいい」とデータが証明しています。

国立大学にも推薦化の波が…

 ですが、推薦入試を重視しすぎる風潮が続くと、貧乏な家庭の出身者は、どれだけ能力があろうと、大学に行けなくなる未来が待っています。学力は、才能や努力である程度補うことができますが、経験を才能や努力で補うことは不可能だからです。どれだけ優れた人であろうと、貧乏なだけで未来が閉ざされてしまうのは健全でないと私は考えます。  私立大学に関しては、AO推薦入試を優先するのもいいかもしれません。一つの営利団体としては合理的な判断ですし、貧乏な家庭の出身者ならば、どちらにせよ学費が払えず、私立に入学するのは難しい。  ただ、今は国立大学でも推薦入試が広がっている時代。2015年に国立大学協会が「推薦入学者を定員の30%に引き上げる」方針が出てからは、筑波大学や大阪大学、九州大学など名門大学でも、推薦の波は広がっています。  これ以上、国立大学にも推薦化の波が広がると、どれだけ優れた能力があっても、貧乏人は大学に行けない時代が来ます。そうなれば、もはや経済格差は固定化されるでしょう。裕福な方は、もっと国のために、貧乏な方は自身と周りの経済格差是正のために努力することが、格差を是正する一歩になるのではないでしょうか。  大学入試を通じて、経済格差についてより多くの方が考えていただけることを望みます。 <文/布施川天馬>
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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