仕事

次々に消えたデスクの私物。同期に“ぬれぎぬ”を着せた新入社員の「残念ないやがらせ」

冷静なアリバイ報告に納得

 市川さんは、会議室にAくんを呼び寄せヒアリングをしたそうです。しばらく沈黙が続いたそうですが、不機嫌そうなAくんはようやく重い口を開いたといいます。  Aくんは極めて冷静な口調で「市川さん、僕は犯人ではありません。この騒動が起き始めた頃、ご存じのように僕は九州ラボへ研修目的の出張へ行っていました。だから、あのような迷惑行為ができるはずがありません」と淡々と語ったといいます。  Aくんの言う通り、たしかに本人不在の間の出来事だったことを改めて認識した市川さん。ただ、実行は出張前でも可能だという疑念が拭いきれません。その様子を察してか、Aくんはさらに決定的な事実を伝えてくれたそうです。 「あの引き出し、普段は鍵かけているんです。出張で使用する大切なデータなどを保管する目的で……。僕は出張前Bくんに『中身の出張用の重要データは持ち出すので、鍵渡すから引き出し自由に使っていいよ』と言って鍵を渡したんです」

ライバルへの嫉妬と稚拙な嫌がらせ

泥棒

※画像はイメージです

 翌日、今度はBくんを会議室に呼び出しヒアリングを始めた市川さん。少し緊張気味のBくんは会議室に顔を出したといいます。 「私の中ではおおむねBくんの仕業だという結論に達していました。Aくんの理路整然とした説明に納得していたからです。それを知ってか知らぬか、Bくんは終始うつむき加減で黙っていたのですが、最後にポツリと『自分がやりました』と白状しました」  勝手にライバルだと決めつけていたAくんが、入社早々九州ラボに出張することになり、焦りと悔しさを抑えることができなくなったBくん。後先考えず、稚拙な行為でAくんを困らせることを考えたのだそう。
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落ち着きを取り戻した社内
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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