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歩行者との接触事故も。“電動キックボード”の「歩道走行」がやっぱり危険なワケ

いまだ数が少ない「電動キックボード向け任意保険」

電動キックボード 電動キックボードの走行ができる歩道は、ちゃんと標識で示されている点にも注目していただきたい。電動キックボードは「気軽に利用できる乗り物」として認識されがちで、さらに特定小型原付区分の車両は免許を必要としない。そのためか、標識を無視して無謀な運転をしてしまう人も。  教習所では、必ず「歩行者優先」について教わる。路上の優先順位は上から歩行者、自転車、自動車。それは電動キックボードが登場した今でも全く変わらない。  歩道上で電動キックボードが歩行者との接触事故を起こした場合、電動キックボードの運転者に対して極めて厳しい過失割合が算出される可能性がある。だからこそ電動キックボードにも自賠責保険の加入が義務付けられているが、これでカバーできるのは相手の死亡で最高3,000万円、後遺障害で最高4,000万円、障害で最高120万円である。筆者自身バイクに乗るためこの数字は常に頭に入れているが、はっきり言って心許ない額である。  もしも電動キックボードで接触した相手(歩行者)が死亡してしまった場合、3,000万円の賠償額で済むとは到底考えられない。ところが、この記事を執筆している2023年12月の時点で電動キックボード向けの任意保険はまだ数が充実していない。NECファシリティーズが三井ダイレクト損害保険を引受会社とした「電動キックスクーター向けバイク保険」の受付を開始したのは、今年8月のことである。それらを考慮すると、「電動キックボードで歩道を走行する」というのは、どうしても一定のリスクを伴ってしまうだろう。 <文/澤田真一> 【参考】 ・特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について-警察庁 ・特定小型原動機付自転車について-国土交通省 ・NECファシリティーズ、個人を対象とする電動キックスクーター向けバイク保険の申込受付を開始-PR TIMES
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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