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プロ野球「現役ドラフト」の問題点とは。「解雇予定の選手をあえて残留させる」可能性も

現状ではいつか“損する球団”が?

 現役ドラフトは、当初の目的に沿った制度になっているのだろうか。ゴジキ氏は「まだ2回目なので明言は難しいですが」としつつ、「他の移籍制度との違いが曖昧ですよね」と話す。 「先ほど『リストアップされた顔ぶれが無難』と話しましたが、恐らく今後しばらくはこうした傾向が続くと思います。しかし、それでは『トレードと何が違うの?』となってしまう。例えば、『28歳以下の選手』『1軍で100試合の出場経験』など、何かしらの条件を設けることにより、現役ドラフトだからこその良さが見い出せるはず。  そうした枠組みを設けなければ、実績のある選手ばかりリストアップしたことで損する球団が出てきてしまう。場合によっては本来は解雇予定だったものの、現役ドラフトにリストアップするためにあえて残留させる、という事態も起きかねません。とはいっても始まったばかりですので、活発な議論が行われて良い方向に進んでほしいものです」  確かにリストを制作する際におけるルール作りは喫緊の課題かもしれない。日本ハムに移籍した水谷瞬選手は現在22歳で1軍出場経験はない。その一方で、DeNAに移籍した佐々木千隼投手は2021年に54試合に登板するなど、一定の地位を築いた選手である。  今後、水谷選手が活躍する可能性は十二分に想定されるが、実績のある中堅選手と実績のない若手選手が同列で扱われることには違和感を覚える。選手にとって、そしてプロ野球にとってより良い制度にするためには、各方面からの意見を柔軟に取り入れるべきだろう。 <取材・文/望月悠木> 【ゴジキ】 野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)・『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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