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「61歳ホームレス」から小説家になった男の人生。“社長からの転落”を経て、賞を取るまで

“寅さん”のように放浪の旅に出たい

[60歳から稼ぐ]最強の働き方

ホームレス時代に漫画喫茶に通いまくってゴールドになった会員カード

そうして書き上げた作品『藻屑蟹』が、第1回大藪春彦新人賞を受賞した。とはいえ受賞しただけでは食えず、「’20年までは漫画喫茶生活を送っていた」という。 「でも新型コロナが流行し始めて『このまま漫画喫茶で生活するのは危ないな』と感じて部屋を借り、ようやくホームレスから脱しました」 現在、赤松氏の仕事部屋はこざっぱりと整理されており、小説家だというのに本棚すらない。「いつも身ひとつでいたい」のだという。 「いずれはカバンひとつ持って“寅さん”みたいに放浪の旅に出たいんですよね。まあ、物がなくたって、ホームレス時代と比べたら小説を書いて暮らせるだけで幸せです」

健康で働けている秘訣は早寝早起き

現在は毎日12時間ほどを執筆に充てているという。 「よく、『筆が早い』と言われるのですが、書いている時間が長いだけです。60代になっても健康で働けている秘訣は早寝早起きですかね。毎朝2時か3時には起きて5時頃から執筆を始めます。それと将来を心配しすぎないこと。貯金はほとんどありませんが、あまり先のことを考えても仕方がないよなって。何歳になっても人生は予想外の方向に変わっていくし、自分も小説を書く際にプロット(あらすじ)は作らず、登場人物のキャラクターだけ固めて、あとはラストがどうなるか自分でもわかっていません」 人生も小説も予想外の方向に進むからこそ面白いのだ。
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毎朝の日課である浅草寺への参拝時に買ったお守り

【作家 赤松利市氏】 1956年、香川県生まれ。著書に大藪春彦新人賞を受賞した『藻屑蟹』(徳間書店)、大藪春彦賞を受賞した『犬』(徳間書店)など 取材・文/週刊SPA!編集部
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