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“コスパ重視”で考える大学受験。共通テストの難化で見えたこと

二段構えの入試は是か非か

 2つめの利点は、入試枠が2つに増えることです。なんと、この推薦・総合型選抜入試はすべての審査が年内に行われるため、年明けの一般入試に出願することも可能なのです。ですから、今のトレンドは「①推薦・総合型選抜入試に出願する」「②推薦・総合型で滑っていたら、一般入試に出願する」と二段構えで入試を突破することです。  正直、この二段構えの仕組みについては、あってはならないものだと個人的に考えています。つまり、お金で入試資格を買っているわけですから、不公平感が拭えません。いまは世間が知らないだけで騒がれていませんが、「お金持ちだけは、一発勝負のはずの大学入試でも、2回のチャンスがある」のです。どちらか一回だけのチャレンジにしたほうがよいのではないかと思いますが、現状では2回チャレンジが認められているので、それだけ合格しやすくなります。  これらの利点があるにもかかわらず、ライバルになるべき地方の進学校などは未だに一般入試信仰が強く、推薦入試など相手にしていません。これらの入試に出願しないことによるメリットが存在しないにもかかわらずです。だからこそ、いまは推薦型・総合型選抜入試を受験すべきなのです。

貧困学生のとるべき道は?

 私は、推薦型入試が多くを占めることを、あまりよしとは思っていません。私立大学ならばいざ知らず、国公立大学ならば、国民に開かれているべきであり、実質富裕層限定の入試となる推薦・総合型選抜入試の枠を広くとるべきでないと考えています。  しかし、私一人が声を上げても、入試のトレンドがそちらに傾いていくことは明らかでしょう。であるならば、利用できるうちに利用すべきでしょう。そうして、推薦・総合型選抜入試が一般的になれば、やがて富裕層のうちでも、そちらにシフトしていく層もいるはずです。勉強を諦めた富裕層が一般入試競争からドロップアウトすれば、結果として、貧困学生にとって、一般入試で入りやすくなる可能性もあります。  推薦・総合型で入りやすいのは、今から数年がピークでしょう。それ以降は徐々に競争が白熱し、レッドオーシャンとなっていくことが予想されます。利用を検討してみてはいかがでしょうか。 <文/布施川天馬>
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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