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“コスパ重視”で考える大学受験。共通テストの難化で見えたこと

 前回、私は共通テストの難しさについて言及した記事を出しました。旧来のセンター試験は共通テストと名を変え、形式も変り、数年がたっていますが、その難易度は年々難化の傾向にあります。その結果として、今の共通テストは、東大や京大、医学部を受験するような超高位層とそれに準ずる高位層の仕分けには役に立っていますが、それより下位の一般層にとっては意味不明な入試に成り下がっているとお伝えしました。  2024年現在、大学入試にも多様化の波は押し寄せています。もはや一般入試だけではなく、推薦入試や総合型選抜入試などのカードが切れるようになりました。そして、コスパだけを考えるならば、一般入試よりも推薦や総合型選抜の方が優れています。  今回は2024年の入試から考える「コスパの良い大学入試」についてお伝えします。
大学受験

写真はイメージです

一般入試はもう古い?

 従来の大学入試と言えば、ペーパーテストの突破が前提でした。受験対策のために勉強を重ね、知識を積み上げ、様々な問題形式を対策し、入試本番の試験で合格点をとる。今でも王道と言える受験方法です。  しかし、最近はむしろ推薦入試や総合型選抜と言われる入試方式の方が重視される傾向にあります。実際、大学入試全体の比率でみれば、一般入試はむしろマイナー側。推薦型入試や総合型選抜入試が過半数を占めています。推薦優勢の波は、留まるところを知りません。むしろ、年を経るごとに推薦・総合型選抜重視になるとみられます。早稲田大学は2026年までに募集人員の6割を推薦型入試にて募集することを掲げています。国立大学協会も2015年に、推薦入学による入学者を全体の30%に引き上げる方針を出しています。  もはや、一般入試がマイナーになり続ける時代は避けられません。ペーパーテストの時代から、経験や発表を重視する時代へ。いまはちょうどその過渡期にあります。しかし、多くの人は、特に地方に住んでいる人ほど、それに気付いていません。地方の国公立などでは、受験指導を専門としている先生であっても、未だに「ペーパーテスト一本、国公立至上主義」を貫いています。  これからは推薦や総合型選抜の時代になるというのに、その流れについていけている人が少ない。逆を言えば、今の段階であれば、推薦入試や総合型選抜入試の市場はまだブルーオーシャンなのです。

お金に余裕があるなら推薦入試を目指せ

 推薦や総合型入試の利点は、現状2つあります。1つは、学力に左右されないこと。これらの入試では、「大学に入ってから何がしたいか」が中心となって問われます。その根拠となるのは、知識ではありません。自分が生きている中で見聞きしてきた物事や、体験した事柄を根拠として、自分の研究動機を語ります。  例えば、私の東大同期の推薦合格者は、貧困を是正するために研究者になりたいとして面接と発表を突破してきました。その根拠となるのは、実際に海外のスラムなど貧困地域を見てまわってわかった貧困の実態。  他の推薦生の例も出しましょう。この方は、いつか動物の研究者になりたいとして推薦入試を突破しました。この方は小さい頃から動物が好きで、飼ってみたい、世話をしてみたいと思った動植物はなんでも親から買ってもらえたそうです。時には海外から個人輸入することすらもあったそう。そんな彼の面接の様子は「楽しく教授とおしゃべりをしていたら合格した」でした。  ここまで読んでお分かりかと思われますが、推薦入試は、いかに自分だけの特別な体験を積むかが肝。推薦入試や総合型選抜入試が「富裕層向けの入試」と批判されやすい理由がここにあります。逆を言えば、お金を積んで特別な体験を子どもにさせさえすれば、チャンスがあるのがこれらの入試。世間がペーパーテストにばかり注目している今なら、割合、楽に入試を突破できるかもしれません。
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二段構えの入試は是か非か
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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