ニュース

東京・赤羽も…再開発で次々に消える「せんべろ街」。“タワマン計画”に住民が反対する本当の理由

「赤羽の顔はせんべろよりむしろ小学校」

「赤羽駅東口は150年近くの歴史を誇る赤羽小学校を中心に商店街ができ、栄えてきました。児童の登下校を商店街の大人が何世代にもわたり見守るなど、小学校と商店街の繫がりは特別なもの。住民からすれば赤羽の顔はせんべろよりむしろ小学校です。それがタワマンに囲まれると、日照の問題やビル風の影響は避けられないから、せんべろ街の再開発に合わせ『小学校を移転する』というわけです」  この一連の動きに、「やさしいまちをつくる会・北区」代表の藤平輝明氏は不信感を募らせている。
[せんべろ街が消える]の大問題

取材に応じる野々山氏(左)と藤平氏。「住民が参加できる話し合いの場が少ない」と口をそろえる

「もし赤羽小学校を移転させるなら、赤羽会館や赤羽公園があるエリアしかありません。駅周辺では数少ない緑があり、親子連れの憩いの場です。区は民間コンサルタント会社に赤羽駅東口周辺の公共施設のあり方の調査を依頼しています。しかし開示された報告書の大半は黒塗り。区は広大な小学校の土地を開発業者に売却するために、再開発を誘導しているのではないでしょうか。公民連携といえば聞こえはいいですが、結局はタワマンを建てなければ民間にはうまみはないわけです」  ’23年11月、駅前で行った署名活動では、2983筆を北区区長に提出した。「小学校移転反対の声が多数」だという。

「まだピンとこない」という声が多数

[せんべろ街が消える]の大問題

’23年11月、駅前で行った署名活動。2983筆を北区区長に提出。「小学校移転反対の声が多数」(藤平氏)(写真提供/野々山研)

 公共施設の再編問題にも飛び火するが、現地を取材してみると、意外にも「まだピンとこない」という声が多数だった。野々山氏は話す。 「一番街はほとんどがテナントです。地権者以外の住人はまだ議論に十分参加できていません。正解はありませんが、後々、こんなはずじゃなかったと泣きを見るのが再開発の常です。区には幅広く住民の意見を聞いてもらいたい」
[せんべろ街が消える]の大問題

写真提供/野々山研

 来る者拒まずの寛容な赤羽の街は残るのか? 取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 図版/松崎芳則(ミューズグラフィック)
1
2
おすすめ記事