ニュース

東京・赤羽も…再開発で次々に消える「せんべろ街」。“タワマン計画”に住民が反対する本当の理由

 街の至るところで再開発が行われている。まるで傷を覆い隠すかのように白い囲いができている。そんな再開発で今、急速に失われつつある古き良き“せんべろ街”。賛成派と反対派の声が錯綜する街を訪ね当事者たちに話を聞いてみた。

赤羽「一番街商店街」火災が“再開発の決定打”となるか

[せんべろ街が消える]の大問題

昨年の火災現場は、第二地区の長屋が連なるシルクロードに位置する。4店舗が延焼。その裏手に赤羽小学校がある

 JR赤羽駅東口のせんべろエリア「一番街商店街」。昭和の風情が漂う中、ひときわ賑わうのがアーケードのある路地「シルクロード」だ。  木造長屋に飲み屋が密集しているため、かねてから防災面が不安視されていたが、’23年クリスマス、4棟が延焼する火災が発生。消防車が40台出動する大騒動となった。  幸いケガ人は軽傷者のみだったが、火事は「再開発の決定打」と口にする住民もいる。これで再開発が一気に進むのか? 

「せんべろかタワマンか」の単純な2択ではない

 これまで紆余曲折してきた経緯を北区区議会議員の野々山研氏は話す。 「20年前から再開発の話はありました。そのときは駅前一帯の再開発案でしたが、地権者の数が多く頓挫。そこで’16年から、地域を3分割した再開発案が出てきました。比較的大きく、老朽化したビルがある第一地区では’25年に取り壊し開始、’29年に地上26階建てのタワマンが完成予定です」
[せんべろ街が消える]の大問題

3つの地区に分け再開発。赤羽会館、赤羽公園を含めた公共空間の再編成も計画されている

 そして一番街のメインストリートで左右に分かれる第二地区、第三地区でも準備組合が設立され、詳細は未定ながら、再開発への機運は高まる。  だが事態は「せんべろかタワマンか」の単純な2択ではない。飲み屋街に囲まれた北区立赤羽小学校が、再開発に巻き込まれているという。野々山氏が続ける。
次のページ
小学校が移転しなければならない理由
1
2
おすすめ記事