更新日:2024年02月05日 20:05
スポーツ

日本代表の“明確な弱点”セットプレー「成果が全く見えない」担当コーチの責任が問われる問題

決定率は悪くない。問題はやはり…

 ちなみにセットプレーのなかからコーナーキックだけをピックアップすると、平均で20〜30%がシュートに結びついて、そのシュートは1割程度の決定率だという。つまり、コーナーキックからの得点率は2〜3%ということ。日本代表はグループリーグの3試合でコーナーキックの機会を得たのは合計で20本。継続した流れのなかの得点も含めると2得点となっており、今のところかなりの高確率で得点に結びつけている。  データの平均値と比較すると、攻撃面におけるセットプレーは合格といえる。しかし、問題は失点である。全体の60〜80%がセットプレーに起因。コーナーキックに至っては3試合で3本しか与えていないのに1本を決められた。サンプル数が少ないとはいえ30%強の確率で失点したことになる。また、3〜4試合に1点といわれるセットプレーからのゴールは、3試合で3失点も献上してしまっている。このように守備面におけるセットプレーが、とんでもなく落第点なのは明白となった。

“動いてはいけない”南野が空けたスペースが…

 セットプレーからの失点を詳しく見てみると、ボールに釣られてマークを見失ったり、マークの受け渡しを確認できなかったりしたことが原因となっている。ベトナム戦ではコーナーキックから失点しているが、ショートコーナーを狙おうとボールに近づいた相手に対して菅原由勢と南野が釣られてニアサイドのスペースを空けてしまった。  コーナーキックのとき、ほとんどのチームがニアサイドにマークを持たずに来たボールを跳ね返す役割を担う選手を置く。それは「ストーン」と呼ばれるのだが、ストーンはGKが届かない位置を未然に防ぐ意味があり、ボールが飛んでくるコースを限定することを目的としている。意味合いとしては、フリーキック時に複数人の選手を並べてつくる壁と同じような役割だ。その壁もそうだが、ストーンを担う選手も基本的にはその場所から動いてはならないのが原則だ。  たとえば、フリーキックのときに壁となった選手がジャンプしたことで下にコースが開き、そこへグラウンダーのボールが蹴り込まれるゴールを見たことがある人も多いと思う。極端にいえば、ストーンにもそれと同じような事象が起こるため、基本的に動いてはいけないのだ。ベトナム戦の失点時にはおそらく南野がストーンの役割を担っていたのだが、釣られて動いてしまってできたスペースを使われてしまった。
次のページ
「マークの位置」があやふやになっている?
1
2
3
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ