森保監督は“なぜ久保を交代させたのか”「戦況を読み対応する力」が不足する日本代表に漂う暗雲
アジアの頂点を目指してAFCアジアカップに参戦していたサッカー日本代表は、準々決勝でイラン代表と対戦して1-2で敗戦。志半ばにしてカタールの地から去ることになった。3月からはFIFAワールドカップ26アジア2次予選が再開し、勝ち上がれば9月からワールドカップ出場をかけた最終予選を戦うことになる。このようにアジア勢との戦いが続くことになるが、想定より早い敗退によって暗雲が漂いはじめた。
イラン戦はキックオフ直後のプレーが試合展開を指し示していた。
前半は久保建英のキックオフから始まったのだが、そのパスを受けた板倉滉はコントロールをミスして焦って蹴ったボールを相手に奪われてしまった。このプレーに表れ出たように、この日の板倉はとにかく精彩を欠いた。細かいボールタッチのミスも目立ったが、何よりプレー判断のミスが全失点に絡んでしまった。警告を受けたシーンも判断ミスで、寄せるのであれば相手が振り向く前だし、カバーする他の選手が後方にいないことなどの状況を加味すれば、飛び込まずに前に行かせない守るべきシチュエーションだった。もちろん本人が最も理解しているはずなので、今後のレベルアップにつなげる原料としてくれることだろう。
それよりもチームとして気にすべきポイントはコンディションである。これまでの板倉のプレーからは考えられないようなミスが続き、本当にあの板倉かと疑ったぐらいだ。先のバーレーン戦で試合終盤に負傷した影響が少なからずあったことだろう。
そこで考えるべきは、決して万全ではない板倉より控えていた谷口彰悟や町田浩樹が劣っているのかということだ。グループリーグでの戦いぶりを見るかぎりは、板倉よりはよかったのではないだろうか。板倉以上に目立ってはいなかったものの、4戦連続フル出場でイラン戦に臨んだ遠藤航も出足が遅れる場面などがあり、やはり100%の状態ではないと感じさせられた。
過密スケジュールで行われる大会では必ずつきまとう問題で、森保一監督はその対策として試合ごとに起用選手を入れ替えるターンオーバー制を導入したが、結果はうまく運用できなかったといわざるを得ない。
試合開始からコンディション不良を疑われるような選手が散見したが、日本代表は持ち前のサッカーを発揮して先制点を奪った。なかでも存在感を発揮したのは久保建英と前田大然だ。
キックオフ直後の時点で様子がおかしかった板倉
うまくいかなかった「ターンオーバー」
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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