更新日:2024年02月08日 15:00
スポーツ

森保監督は“なぜ久保を交代させたのか”「戦況を読み対応する力」が不足する日本代表に漂う暗雲

監督やコーチにも求められる「戦況を読み対応する力」

 イラン戦では交代直前にボールロストが続いた久保だが、それでも最も効果的な役割を果たしていた。また、前田と久保は積極的に前線からプレッシャーをかけていた2人だった。2人が交代したことで前線からのプレッシングは甘くなり、結果としてイランのロングボール戦術を増長させることになった。  加えて、交代のタイミングは2人のプレーをきっかけに試合の流れを取り戻しつつある状況。戦況が見えていれば、あのタイミングで三笘と南野の投入は考えづらかった。「プレミアリーグで活躍する三笘なら何とかしてくれる」「最近はよく得点に絡む南野ならゴールを演出してくれる」といった希望に基づいただけの交代策だったのではないかとさえ思えてくる。  戦前にシナリオを描くのは監督であれば当たり前のことである。とはいえ、そのシナリオどおりに事が運ばないことのほうが多い。それゆえにあらゆることを想定して考えられるだけ考えておくのだが、最良のシナリオに沿ってしか交代枠を使おうとしていなように感じる。もちろん、交代枠は限られており、大半のことはピッチ内の選手が試合中に対応しなければならない。それでも修正しきれないときは多々あるし、ピッチでは感じ取れないことを察知して采配するのが監督などコーチ陣の役割のひとつだ。戦況を読み対応する力は選手にも求められるが、何より監督やコーチに求められることだ。  アジア勢との戦いは、まだ続く。しかも予選には敵地での試合もある。アウェイでの予選は想定外のことがよく起こる。それは選手時代に経験した監督やコーチが最もよく知るところだろう。想定外への対応力を身につけなければ、今大会のようにファンやサポーターの“想定外”の結果を招くことになりかねない。 <TEXT/川原宏樹 撮影/Norio Rokukawa>
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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