更新日:2024年06月14日 04:45
スポーツ

“挑発、煽り”を禁止した阪神の私設応援団「熱い応援と過激な応援は違う」

結成当初は10人ほどだったが、現在は50人まで拡大

築地猛虎会

神宮球場。前列(キャップを被っている)のが石川さん、右から2人目が中松礼子さん、その左隣が中松圭さん

結成当初は10人くらいの集まりだったのだが、少しずつ参加者が増えて、現在は東京で40人、大阪で10人の、合わせて50人くらいのメンバーがいる。 「メンバーの年齢層はアラフィフが中心で、若い人でも40代のミドル層で、70代になっている人もいます。男女比で言うと、8:2くらいで男性が多いですね」(中松礼子さん) 阪神を応援していることを家族はどう思っているのか。石川さんに訊ねると、こんな答えが返ってきた。 「実は若い頃からタイガースを応援していたのですが、家族には内緒にしました。タイガースを応援するときのタオルやTシャツなどは自分で洗濯して乾かしてということをしていたんです。ところが2005年にタイガースが優勝した直後、家族にそのことがバレてしまったんです。そこで『実は……』とすべてを話して、タイガースファンであることを告げたんです。それからは家族了解のもとで応援をし続けるようになりました」

仕事場なのに「思わずバンザイしてしまった」

仕事でもこんなことがあった。 「当時、私は神宮球場にバックスクリーンの電光掲示板に映る広告チェックの仕事で行っていたんです。球速表示が出たときにメーカーの名前が出るのですが、それがきちんと表示されているかをバックネット裏の席で1球ごとにチェックしていました。ところが、ヤクルト対阪神戦でタイガースが得点をしたときに、思わず席から立ちあがってバンザイをしてしまった。 その姿を神宮球場の当時の場長が目撃してしまって、私の会社の当時の上司のところに、『阪神が得点をした瞬間、バンザイして立ち上がっていた者がいたんだけれども、あなたの部下じゃないのか?』と電話があったというのです。私も上司にヒアリングされて『私でした』と告白したのですが、その場で注意はされたものの、それ以降はバンザイすることは禁止となってしまいました」 と石川さんは当時を懐かしむように話す。
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“挑発行為”がすべて禁止。その理由は?
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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