更新日:2024年06月14日 04:45
スポーツ

“挑発、煽り”を禁止した阪神の私設応援団「熱い応援と過激な応援は違う」

“挑発行為”がすべて禁止。その理由は?

築地猛虎会

東京ドームの外野席で

築地猛虎会は、一部のタイガースファンのように、過度に煽ったり、相手チームのファンを挑発するような行為はすべて禁止にしている。その理由を中松礼子さんはこう説明した。 「私たちは過激な応援や誹謗中傷、相手チームを罵倒するような応援は一切しておりません。たしかに一部の阪神ファンのなかには、そうした応援をすることで、アイデンティティを保とうとしている人もいます。ただ、私たちはそのような応援スタイルではなく、熱い気持ちを持ってタイガースを応援したいだけなんです。熱い応援と過激な応援は違います。相手チームを罵倒するような応援をしたいと考えているような人に、『一緒に応援したい』と言われても、あまりなじめないと思います。ここは相手チームをリスペクトしたうえで応援してくれる人たちの集まりなんです」 さらに中松圭さんがこう続けた。 「阪神ファンと言うと、東京ドームで『くたばれ読売』とか、巨人の応援歌の替え歌を歌ってばかりいると思われがちですが、私たちはそうした応援スタイルとは一線を画しています。もちろん阪神を熱い気持ちで応援していることは間違いありませんが、他のチームを貶めるような行為は一切していないんです。私たちの会員はだいたい50人くらいいますが、現状から大きく増やそうとは思っていません。この会に参加してくれている人たちはみな、阪神を心から愛して応援しているのは確か。でも同時に『野球が好き』という気持ちが強いんです。私たちが応援しているチームがあるのは、相手チームがあってこそ。相手チームの選手が好プレーを見せれば悔しがることがある一方で、『ナイスプレー』と拍手を送る。野球が好きだからこそ、相手もリスペクトすることが大切だと考えています」

『死ね死ね』と歌う子供に注意することも

スタンドで応援している阪神ファンのなかには、親が過激な言葉を口にするのをマネて言う子どももいるというが、そうした子どもが近くにいたときには、中松圭さん自身が直接注意しに行くこともあるという。 「東京ドームで7回に巨人の応援歌が流れたとき、『死ね死ね~くたばれ~、巨人軍~♪』て子どもが大人と一緒になって歌っていたときには、『死ねなんて言葉を言ったらダメだよ』と言っています。けれどもそうした注意をすると、『いいじゃん、楽しんでいるんだからさ』というような表情をしたり、チェッと舌打ちするような子もいたりするんですが、誹謗中傷をする言葉はその場で応援している人も気分のよいものではありません。スタンドはみんなが楽しめる雰囲気にしたいと思っているんです
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野球の応援以外の課外活動も盛ん
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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