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大量閉店「イトーヨーカドー」衰退した納得の理由。再起に必要な“変化”とは

「自社アパレル」は完全撤退するが…

ヨーカドーはコロナ禍以前より「SC化」を進め、自社販売のコーナーを減らしテナントを誘致する方針に切り替えました。GUやノジマなどが店舗に入居するようになったのもSC化が進んだためです。その上で最近ではヨーカドーの今後について、以下4つの方針を決算資料で発表しています。 (1)アパレル事業完全撤退(食品へのフォーカス)(2)首都圏店舗へのフォーカス(3)運営会社の統合再編(イトーヨーカ堂とヨークの統合)(4)戦略投資インフラの整備です。 (1)に関してはあくまでも自社アパレルの完全撤退であり、衣料品コーナーを無くすわけではありません。ヨーカドーはアパレル3位の「アダストリア」と手を組み、専用ブランド「FOUND GOOD」の専用コーナーを設置しています。 同コーナーでは商品企画から店舗づくり、そしてスタッフの研修までアダストリアが手がけるようです。ボトムズの価格帯は3,000~5,000円前後、シャツは3,000円台のものが多く、低価格帯として位置づけられます。24年6月までに半分を占める64店舗まで広げたいとしており、アパレルに関しては自社方針を諦めつつも、業界大手のノウハウを活かして客を呼び込む方針です。 (4)については食料品販売を効率化すべく、首都圏でセントラルキッチンやプロセスセンターを増やしています。プロセスセンターは店舗で行っていた加工作業を担う工場のことで、人手不足の解消策として各社が導入を進める施設です。セブン-イレブンの商品も同じ施設で作ることにより、効率化を進めるとしています。

ドラッグストアコーナーの導入を進める

その他の施策としては近年、ドラッグストア型売場の導入を進めています。21年9月の初導入後、現在では「DrugCosme」という名称で展開しており、26/2期までにヨーカドーの全店でコーナーを設ける方針です。ドラッグストア業界が伸びていたにも関わらず、本格的に展開してこなかったことが出店の背景にあります。 今後の方針をまとめると、食品スーパーに集中しつつSCとしてテナントを誘致し、アダストリアと組んだ衣料品販売コーナーやドラッグコーナーで集客を図る方針です。 これにより、首都圏では必需品を扱う機能的な店舗として認識されるでしょう。とはいえ再起を狙うなら、古い店舗構造やブランド名を変える必要がありそうです。
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「イトーヨーカドー」の看板を変える必要があるのでは?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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