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お笑い芸人が苦手だった筆者を感嘆させた“みなみかわの実力”「楽屋でも態度は変わらず」

さりげなくも強烈なミッドポイント

本作は、最初こそ関連性がないかに見える数珠繫ぎコント集だが、第2話から、伊藤健太郎がオフ会で集めたメンバーによるまさかの銀行強盗計画を主軸にプロット展開する。 なるほど、今どき真っ向から銀行強盗を描くなんて、必ずしもリアリティを担保する必要のないコントくらいにしか確かにできないかもしれない。アル・パチーノ主演の『狼たちの午後』(1975年)さながらに、無計画な即席銀行強盗チーム「インシデンツ」が決行するのが、第4話冒頭。 コントならでは。首尾よくいくはずがない。「さらば青春の光」のふたりのかみ合わないチームワークによって、予期せぬ立てこもり事件に発展する。行内に集めた人質相手に、精神統一の呼吸法を教授する教祖みなみかわ……。 ともあれ、このマルチプロットのコントの折り返しは、みなみかわが放つ一発の銃声だということは最後に強調しておきたい。クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』(2015年)で、唐突に血反吐を吐く衝撃的なカート・ラッセルのように、さりげなくも強烈なミッドポイントを打つという才人の技をどうかご堪能あれ。 <TEXT/加賀谷健>
コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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