仕事

「これ犯罪だからな」入社数ヶ月で辞めた新入社員がたくらんだ“とんでもない行動”

ボイスレコーダーの忘れ物

 Mくんに対する見方が少し変わってきた川口さん。その日は午前中から月例の商品企画会議があり、新製品の検討会も兼ねているため数名の役員が出席していました。 「会議は滞りなく終了し、下っ端の私がマイクやプロジェクターの撤収を行っていました。すると、ワイヤレスマイクの受信機が設置してあるラックの片隅にボイスレコーダーを発見したんです。しかも録音状態でした。変だと思いましたが、とりあえず気味が悪いのでそこから取り出して会議室を後にしました」  川口さんが会議室を出て自分のフロアに向かっていると、前から歩いてくるMくんと出くわしたといいます。 「もしやと思い、席に戻ったふりをしてMくんの後方から気づかれないように見張りました。すると、トイレでもなく自販機でもなく、彼が向かったのは会議室だったのです。後から気付かれないように急いで追いつき扉の隙間から様子を見ると、ワイヤレスマイクの受信機の周辺をゴソゴソと物色していたんです。これはクロだなと直感しました」

とんでもない行為が明るみに

レコーダー

画像はイメージです

「探しているのはこれ?」と、会議室の奥のほうでゴソゴソしているMくんに尋ねた川口さん。びっくりしたように振り向いてオドオドするMくんは「はい。すみませんでした」とだけ答えます。  川口さんが「なんのために盗聴していたのか聞かせてほしい」と聞くと、予測した通りMくんは新製品の情報をいち早く入手し、自社株を購入するという魂胆でした。しかも、自分ではなく大学時代のサークル仲間に代理購入を依頼したとのこと。 「商品開発の情報だけなら株価に大した影響はありませんが『一歩間違えれば、犯罪だからな!』と注意しました。盗聴行為はともかく、たとえ他人が代理購入しても、重要情報であればインサイダー取引になることを強い口調で伝えました」  インサイダー行為を未然に防いだ川口さん。Mくんは反省の色は見せたものの、要注意人物だとし、当分は厳しい監視下に置くと語っていました。しかし、その問題発覚から数か月後、会社に居づらくなったMくんは自主退職したそうです。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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