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「メジャーリーガーにしか見られない景色がある」マック鈴木が振り返るアメリカでの日々

白球を求める流転の日々

 そして、6月にコロラド・ロッキーズ、7月にはミルウォーキー・ブルワーズに移籍する。 「このとき、僕の精神力がもっとしっかりしていれば、誰に何を言われてもブレずにいられたと思います。でも、そこでフラフラしてしまう自分がいた。その結果、投げ方までおかしくなってしまいました」  翌’02年は古巣のロイヤルズに復帰したものの、’00年の輝きを取り戻すことはできなかった。結局、この年限りでマックはアメリカ生活に終止符を打つ。その後は’02年オフのオリックス・ブルーウェーブへのドラフト入団から始まり、メキシコ、台湾、ドミニカと、白球を求める流転の日々を過ごすことになる。 「16歳でアメリカに渡って、野球でお金を稼いで生活してきたけど、普通に日本の学校を出て、NPBでプレーしてからメジャー入りしたほうが無駄もなくてずっといい。僕の場合はたまたま運がよかったけど、この生き方は勧められない」

「メジャーリーガーにしか見られない景色がある」

 もちろん、自分の選択に後悔はない。マックは言う。 「NPBを経験せずに初めてメジャーリーガーとなったこと。日本人で初めてアメリカンリーグで投げたこと。野球が続く限り、この『初めて』はずっと記録に残ります。引退後に結婚して、息子が生まれてから、それは誇りに思っています」  雑用係だった16歳から始まり、異国の地で孤軍奮闘して摑んだ16勝。その輝きは今なお決して色あせない。 「メジャーリーガーにしか見られない景色がある。それは本当にいい光景でした」  もうすぐ50代を迎えるマックは清々しい表情で言った。 【マック鈴木】 1975年、兵庫県生まれ。1992年に渡米、1Aサリナスで球団職員。1993年9月、マリナーズと契約。1996年、メジャー初登板。1999年、ロイヤルズ、’01年途中、ロッキーズ→ブルワーズ→ロイヤルズ。 ’02年、オリックスにドラフトで入団 撮影/ヤナガワゴーッ! 写真/時事通信社
1970年、東京都生まれ。出版社勤務を経てノンフィクションライターに。著書に『詰むや、詰まざるや〜森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)など多数
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