仕事

1文字1円未満だったWebライターが“文字単価”を「6年間で約20倍に」上げるまで

たった5〜6年の間でギャラは約20倍に!

國友公司

駆け出しの頃はクラウドソーシングで仕事を探していた

 だが、その後もライターとしての営業活動はあまりうまくいかなかった。そこでクーロン黒沢さんに相談してみたことで、Webメディア「日刊SPA!」の編集者につないでもらえたのだ。当時の担当編集者がこう話す。 「國友さんからもらった企画案の内容や、クーロン黒沢さんの知り合いということで、当初は40代ぐらいの“ヤク中のおじさん”だと思っていました。しかし実際に打ち合わせに顔を見せたのは20代の好青年だったので驚きました(笑)。コンプラにうるさい時代に裏社会などのテーマを若者がガッツリやろうというのは“ギャップ”があって面白いし、なんとなく未来の可能性を感じたんです」(日刊SPA!編集者)  多くのライターがひしめく中で、編集者になんらかの“引っかかり”があることが大事なのかもしれない。ともあれ、日刊SPA!で定期的に記事を書き続けたことで、“ライター”として道が開けていったという。ただし、大学卒業後の進路は相変わらず決まっていない状態だった……。 「その編集さんが、『出版社の仕事に興味があるなら、直筆で手紙を書いてみるといいよ』と教えてくれたんです。それで、『実録 ドラッグリポート アジア編』や『裏のハローワーク』などの著書がある草下シンヤさんが彩図社の編集長だと聞き、直筆で5000~6000字ぐらいの手紙を出してみたんです」  今ならば、手っ取り早くX(旧Twitter)などのSNSで編集者にDMを送るなどの方法もあるだろうが、デジタルの時代にあえて手書きで長文の手紙を送ったことが功を奏したのか、実際に会ってもらうことに成功したのだ。 「編集長の草下さんから『さすがに手紙で就職は決まらないよ』と笑われましたが、『今まで書いたものを見せてくれ』と言われたので大学の卒業論文を見せました。内容は新宿のホームレスがどんな生活をしているかというものだったのですが、それを見た草下さんから『就職が決まっていないなら、4月から西成で生活してみてよ。面白かったら本にする』と言われたんです」  躊躇はあったが、他にすることもなかったため、西成で78日間生活し、その体験を綴った。こうして発売された『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』がベストセラーに。まさに“名刺代わりの一冊”となり、その後はさまざまな仕事が舞い込むようになったのだ。  現在はライター・編集者として有名メディアに引っ張りだこ。ギャラは文字単価に換算すると、たった5〜6年の間で15〜20倍ほどになったと話す。“行動力”で変わる未来もあるのだ。 【特集一覧を見る】⇒“取材ライター”で文字単価を10倍稼ぐ方法。プロが本気で教えます <取材・文/松本果歩、企画・編集・撮影/藤井厚年>
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