1文字1円未満だったWebライターが“文字単価”を「6年間で約20倍に」上げるまで
「夢を仕事に」「大好きな文章で生きていく」
ここ数年で“Webライター”が急増した。出版社や編集プロダクションから独立した人だけではなく、一般企業に勤める会社員の副業や、子育て中のママでもOK。特別な資格は不要で未経験から始められる……。
とはいえ、クラウドソーシングサイトでは文字単価1円未満の案件がほとんど。現実として食べていけるほど稼げるライターは、ほんのひと握りなのである。1文字1円の壁が超えられず、辞めていく人も少なくない。
また、ChatGPTやClaude3などのAIツールの登場により、今後はSEO対策(検索エンジン最適化)に特化した“SEOライター”の仕事は激減していくとも言われている。
そんななかで、いま「稼げるらしい」と注目を集めているのが、“取材ライター”や“インタビューライター”と呼ばれる人たちだ。ネットで調べた情報だけではなく、自分の足で現場に出向き、見たり聞いたりした内容を原稿に落とし込んでいく。
取材やインタビュー記事におけるギャランティは1本いくらの「記事単価」になるケースが多いものの、文字単価に換算すれば1文字10円以上の案件も珍しくない。ライターの仕事を中心に生計を立てたいならば、近い将来、もはや取材のスキルは必須かもしれない。
「それはわかっていても第一線で活躍する取材ライターや編集者にツテやコネがあるわけじゃないし、具体的にはどうすればいいのかわからない」
そう感じているWebライターも多いことだろう。
ライター・編集者として活躍する國友公司さん(31歳)が本格的に活動を始めたのは25歳の頃だった。現在は『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』や『ルポ歌舞伎町』(共に彩図社)、『ルポ路上生活』(KADOKAWA)など、累計15万部のヒットを叩き出しているが、じつは5〜6年前までは右も左もわからず、苦しい状況だったことはあまり知られていない。
クラウドソーシングサイトの1文字1円未満の案件に応募し、必死で書き散らす日々。大学卒業を目前に控えるなかで就職先も見つからない……。そんな國友さんが、駆け出しで実績ゼロの状態から一体どんな手を使って這い上がってきたのか?(記事は全3回の1回目)
【特集一覧を見る】⇒“取材ライター”で文字単価を10倍稼ぐ方法。プロが本気で教えます
まずは國友さんが歩んだ軌跡を振り返っていきたい。そこにライターになって活躍するためのヒントがあるはずだ。
「僕は大学を卒業するまで7年かかっています。猿岩石の『ユーラシア大陸横断ヒッチハイク』が好きで、3年間休学して海外旅行をしていたのですが、その道中でクーロン黒沢さんが書いた『裏アジア紀行』(幻冬舎)という本を読んで、こんなライターになろうと決意しました。
帰国後、旅行について書いた原稿を色んな出版社に送ってみたのですが、反応はあまりなくて。仕方なく某クラウドソーシングサイトに登録して1文字1円の記事を毎日1万文字分ぐらい書いていたのですが、正直かなり大変でしたね」
そんななかで、いくつかの転機が訪れたという。
「大きかったのは、クーロン黒沢さんのトークイベントに参加したことです。そのイベントに申し込みする時に『自分の過去の変な体験について書いてください』という項目があって。僕はゲイマッサージ店でアルバイトしていたので、いろいろ書いてみたんです。それが目に留まったみたいで、話す機会をもらえました。そこでライターをやっていると話したら、クーロン黒沢さんが編集・発行人を務める『シックスサマナ』というKindle電子雑誌のなかで連載を持たせてもらえることになりました」
ツテやコネがなくても自分から行動することでチャンスが舞い込んでくるケースもあるのだ。
Webライターは“取材”のスキルに活路
最初はクラウドソーシングで1文字1円の記事を書いていた
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