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マックとモスで分かれた明暗。ポイントは「400円の壁」と「原価率」――大反響・総合トップ10

値上げのタイミングで客数が減少…

モスバーガー

※モスバーガー「月次情報」より

 モスバーガーの2023年4月から6月までの前年同月対比の実績において、注目すべきは既存店客数です。  値上げを行ったのは2023年3月24日でした。4月の客数は前年同月比で97.4%と下回っています。5月は連休の影響もあったのか100%を上回った104.0%だったものの、6月は再び昨対割れ98.7%となりました。ただし、客単価が前年を9.5ポイントも上回っているため、トータルの売上は前年より10.8%も増加しています。  モスバーガーは、高価格・高品質のブランドを構築して拡大してきました。その中で急速な原材料高が起こり、ハンバーガーという市場において価格転嫁がしづらい水準まですでに達してしまったのです。更にこの高品質というのが、苦しめているポイントでもあります。

高品質ゆえ原価率は50%超え

 モスバーガーの2023年3月期の原価率は54.6%。マクドナルドの2022年12月期の原価率は81.7%です。マクドナルドは異常なほど原価が高くなっていますが、これは原価の中に労務費が含まれているため。マクドナルドの材料費とフランチャイズ収入原価は1407億1300万円で、これを材料原価だと仮定すると39.9%となります。  なお、モスフードサービスは海外事業やハンバーガーショップ以外の飲食店も展開しています。国内モスバーガー事業単体で見ると、2023年3月期の販売実績は667億1300万円、仕入実績は375億1500万円でした。原価率は56.2%で、会社全体の原価率を上回っています。
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「原価率を改善」するとしているが…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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