デジタル

メディアアーティスト・落合陽一が予想。生成AIが創る50年後の世界とは…?

 ChatGPTをはじめとするさまざまな生成AIが登場するなか、働き方や社会の在り方も少しずつ変化を遂げている。「今後、自分の仕事はどう変化するのか」「今後どんな産業が発展するのか」などとの疑問をはじめ、今後、AIが発展した先の未来について、気になる人も多いだろう。  そこで、AIの研究者ともしても知られるメディアアーティストの落合陽一氏が予想する、10年後、20年後、50年後、生成AIが創る世界の未来の姿を紹介する。 
落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー

落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー

 本稿は、『落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー』の一部を抜粋・編集してお届けする。

現在のAIは「自分の用途に合わせて使いこなす」のが一般的

落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー

著者・落合陽一氏 ©️中川容邦 / KADOKAWA

 10年後の未来、生成AIによって大きな社会変化をもたらすと思われるのが、「デジタルヒューマン」の登場です。特にビジネスの世界では人間の代わりに働いてくれる「デジタル・エージェント」が、一般に普及しているのではないかと思います。  現在のAIは、それぞれの特性や機能が大きく差別化されているため、ユーザーの用途によって使い分けられています。僕の場合も、検索するならperplexity、サーベイをまとめるときはCopilot、プログラムを書くときはClaudeを使います。そして、これらを使ってもうまくいかないものはChatGPTのAPIでコードを書きます。  さらに、音楽をつくるときは、SpliceやSunoといったAIアプリを利用しますし、画像生成で写実的な絵をつくりたいときはMidjourney、リアルタイムに画像をつくりたいときはStability のSDXLのLCMやSDXL Turboなどを選びます。また、動画をつくるときはRunwayMLやAnimateDiff、KaiberなどのAIを作風に合わせて使い分けています。

10年後の日本の未来はデジタル・エージェントが変える?

落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー

※写真はイメージです

 このように現代ではタスクに応じて、ユーザーがものすごく膨大な量のAIを使い分けなければいけません。しかも、AIは日々めまぐるしく進化していくので、情報のアップデートも必要になってきます。  しかし、デジタル・エージェントの登場後はあらゆるタスクをすべて一元管理してくれ、そのタスクに合わせた最適なAIを提案してくれるようになるはずです。  さらに、「このようなプランを実現するにはどうすればいい?」とデジタル・エージェントに相談すれば最適なプランを提案してくれるようになるでしょうし、最終的に「こういうふうに作っておいて」と指示さえすれば形にしてくれるようになるので、業務はかなり簡略化されるでしょう。そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。
次のページ
20年後の未来は、生成AI×ハードウェアの優位性が高まる
1
2
筑波大学でメディア芸術を学び、2015年東京大学大学院学際情報学府にて博士(学際情報学)取得。現在、メディアアーティスト・筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長/ 図書館情報メディア系准教授・ピクシーダストテクノロジーズ(株)CEO。 応用物理、計算機科学を専門とし、研究論文は難関国際会議Siggraph などに複数採択される。令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞を受賞。内閣府、厚労省、経産省の委員、2025年大阪・関西万博のプロデューサーとして活躍中。 計算機と自然の融合を目指すデジタルネイチャー( 計算機自然)を提唱し、コンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新しい自然環境の実現や社会実装に向けた技術開発などに貢献することを目指す。
記事一覧へ
落合陽一責任編集 生成AIが変える未来-加速するデジタルネイチャー革命- 落合陽一責任編集 生成AIが変える未来-加速するデジタルネイチャー革命-

この1冊で最新情報&活用法のすべてが俯瞰できる!

おすすめ記事
ハッシュタグ