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経済ニュースの大半はノイズ!? 経済評論家が教える「詐欺師に騙されない」たったひとつの方法

 新NISAの開始などを受け、新たに投資を始める人が増えている。その一方で、目立つのが「日本財政が立ち行かない」などの煽り文句で不安感をあおり、怪しげな投資商品を売りつける詐欺事件の存在。
『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』

『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』(上念司・著)

 これに対して、「経済学の知識があれば詐欺師に騙されない」と語るのは、経済評論家の上念司氏だ。そこで、上念氏の新刊『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』より、詐欺師に騙されないためのポイントを紹介する。(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)。

経済ニュースは信じるな! 大切なのは経済学の知見

『経済学で読み解く正しい投資 危ない投資』

※写真はイメージです(以下同)

 投資を始めるといろいろな経済ニュースを気にするようになる人が多いです。しかし、そのニュースの大半は、ノイズでしかありません。特に、短期的な値動きにテキトーな解説をつけているものが多い。しかし、こんなテキトーな記事に釣られる人が大量にいると、自己実現的に相場が動いてしまうことがあります。  しかし、それはあくまでも一時的なもの。長期では経済学の予想通りに回帰する。経済学200年の知見には絶対に勝てない。これを肝に銘じましょう。  なぜこれが大事かと言うと、経済学の知見に反するトンデモ解説はたいてい投資詐欺などの犯罪に利用されるからです。日経新聞でお馴染みの 「財政破綻がー!」 という記事。あれなんて詐欺師にとっては絶好の毛鉤ばりですよ。たとえば、こんな記事を使います。 【国の国債利払い費、金利1%上昇で8.7兆円上振れ 財務省試算―日本経済新聞】  財務省は4日、長期金利がこれまでの想定より1%上がった場合、2033年度の国債の利払い費がさらに8.7兆円増えるとの試算をまとめた。日銀がマイナス金利政策を解除し、長い目で見ると金利には上昇圧力がかかる。税収の増加も見込まれるが、社会保障費など予算の膨張を防ぐ取り組みが必要になる。  財務相の諮問機関の財政制度等審議会が4日に分科会を開き、財務省が新たな試算を提示した。同省は政府の24年度予算をもとに向こう3年の収入と支出の状況を示す試算をすでに公表しており、今回はその試算より金利が跳ね上がった場合を想定した。  国債費については元本の返済とともに、利息の支払い分を毎年度の予算に計上している。24年度は予算総額112.5兆円に対し、利払い費は9.6兆円。想定金利は1.9%とした。金利は足元で0.7%台で推移しており、やや高めの設定となっている。 【引用:国の利払い費、金利1%上昇で8.7兆円上振れ 財務省試算『日本経済新聞』(2024年4月4日)】

まずはビビらせるのが、詐欺師の常とう手段

『経済学で読み解く正しい投資 危ない投資』 詐欺師はこういうニュースを使って「国はアテにならない!」という噓を刷り込みます。 「日本は借金まみれでそれを返済するために政府は国民から金を巻き上げることしか考えていない。我々は被害者なんだ!」と。アメリカのテレビ説教師のように、まずは恐ろしい地獄の話で相手をビビらせるわけです。  そしてここから話は飛躍します。「日本円はいずれ紙くずになる」とか、「バンクホリデー」とか、「新円切り替え」とか、荒唐無稽なホラーストーリーを展開し、恐怖は絶頂に達するわけです。
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「新円切り替え」とはなんだったのか
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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