殺人未遂逮捕の人気ミュージシャン、自殺願望と「音楽死ね死ね死ね…」。何に追い詰められていたのか
5月31日、自宅マンションで交際中の10代少女を包丁で刺し殺そうとした容疑で、音楽グループ「ツユ」の「ぷす」こと、矢野麻也容疑者(30)が逮捕されました。報道によると、「彼女を刺して自殺しようと思った」「彼女とトラブルはなかった」と供述しているそうです。
「ぷす」は、ニコニコ動画から起こったボカロムーブメントに影響を受けて、2012年頃に「じっぷす」名義で音楽制作を開始しました。米津玄師がボカロP「ハチ」として名をあげた少し後です。
その後、2019年に「ツユ」を結成し、2022年にメジャーデビュー。そして昨年にはアニメ『東京ベリンジャーズ 聖夜決戦』のエンディングテーマ「傷つけど、愛してる。」で一躍有名になりました。
グループの全楽曲の作詞と作曲を担当し、「ツユ」のYoutubeはチャンネル登録者数130万人超えと、若者に人気だった矢野容疑者。しかし、4月13日の自身のXアカウントで<音楽死ね死ね死ね死ね…>と、そして5月7日にはサブアカウントと思しきところでも<俺は何年もやって行き詰まってきたものを楽しくやるのは無理>と投稿するなど、本業の音楽活動でのいらだちをあらわにしていました。
もちろん、殺人未遂にまで至る動機はひとつではありません。しかし、事件を起こす直前に不安定なメンタルを隠せなくなっていることも事実です。
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「音楽死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね(以下続く)」
「音楽は死ね。今回も完成してないです。俺、一回も音楽完成したことないんですよね」
2024年4月13日のX @Pusu_kun
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「毎回同じような音の曲を量産してると視野が狭まって、かといって(中略)今までツユでやってないような曲調も攻めようとするとこうなるってこと。俺は何年もやって行き詰まってきたものを楽しくやるのは無理」
「まあ俺の苦悩はお前らには分からん。好きに言え」
2024年5月7日のX「ツユの『ぷす』のサブ垢」 @asa_kun3
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そこで、「ツユ」の曲の傾向から、「ぷす」を追い詰めたものがあるとすれば、それは何だったのかを考えたいと思います。
代表曲「傷つけど、愛してる。」を聞いて浮かんだのはYOASOBIでした。と言っても、具体的にどこがというわけではなく、曲作りの方法論が同じ。あ、これはボカロだな、という作りなのです。
どういうことかといえば、一曲にありったけの音節を詰め込んで、誰が一番複雑な割り算を解けたかを競っているような音楽。いわば、そろばん競技みたいなものです。
不安定なメンタルが丸見えのX投稿
「ぷす」は何に追い詰められていたのか?
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