更新日:2024年06月05日 09:51
エンタメ

殺人未遂逮捕の人気ミュージシャン、自殺願望と「音楽死ね死ね死ね…」。何に追い詰められていたのか

一瞬の刺激を競い合う時代の病

 しかしながら、これらの要素は頭の回転と小手先の器用さの過当競争で終わります。「ぷす」自身もXに投稿していたように、<毎回同じような音の曲を量産してると視野が狭まって>しまうけれども、今さら別の路線を取りようがなくなってしまった。なぜなら、瞬間的な刺激ばかりを追求してきたために、大局的な本質を熟考することがお留守になってしまったからです。  これは彼だけではなく、そういう短期的なリターンを期待できるものを求めてきた音楽市場にも、責任の一端はあるのでしょう。 「ぷす」のポストを見ると、いわゆるかまってちゃんだとか、メンヘラ的な傾向があるのかもしれません。また、SNS上でそんなキャラをあえて演じていた部分もあるのでしょう。  それでも、彼の作る曲からは、たとえアテンション・エコノミーのひとつになってしまっても、音楽に真剣に向き合った人間の焦燥感が垣間見えるのです。 <文/石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ