更新日:2024年07月01日 19:30
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冷房は「こまめに消す」のと「つけっぱなし」、どちらが良いのか。一級建築士だからこそ知る「光熱費を節約する方法」

直射日光の影響を弱めるには?

さて、なぜ夏は家の中が暑くなるのでしょうか。「直接家に差し込む直射日光」が大きな要因の一つであると覚えていただきたいです。 「西日」はその代表的なものですが、「東日(朝日)」を意識する人は少ないはず。実は、夏の朝日は西日と同じように、家の側面からダイレクトに日差しが入ってくるので、急激に室温が上がります。特に近年流行りの「高気密高断熱の家」の場合、朝日が入ることで温室のようになってしまうのです。 日中の南から差し込む日光に関しても同様ですが、こちらは太陽高度が高い分、庇(ひさし)を出すことで直射日光を遮ることができます。しかし、近年増えている「モダンな箱型デザインの家」は、真夏に「南の直射日光」を家に入れてしまうケースもあり、冷房をフル稼働しないと暑くてたまらないという事態を招いてしまいます。 一番手っ取り早く出来る解決法は、「家の外によしずをかけること」です。太陽光は、家の中に入った場所で遮るのではなく、窓より外側で遮った方が効果は高いです。昔から使われているよしずですが、家の中の温室化に対してかなり有効的。ぜひ取り入れてみてください。

「冷房嫌い」の原因は湿度にアリ?

温暖湿潤気候から亜熱帯化してきていると言われている昨今の日本。寝苦しい日々が続くことも珍しくありません。そういったなか、寝はじめに冷房をつけ、1時間でタイマーがオフになるように設定するなど、節約に努める人も少なくありません。しかし、夜中に目を覚まし、30分だけ冷房をつけ、また数時間後に暑くなり、冷房をつけなおすーーこんな状況が続けば、寝不足で体調を崩してしまいますよね。 そして、地道な積み重ねではありますが、残念ながら連続運転するのと光熱費はほとんど変わりません。実は、冷房のONとOFFを繰り返すのは、自動車で高速道路を走行する場合と似ており、燃費が悪くなるのです。 そもそもの話ではありますが、独特の湿気った冷気が体にまとわりつくのが苦手で「冷房が嫌い」という人も一定数います。 しかし、冷房嫌いの人でも快適に過ごす方法があります。そのカギは「湿度調整」にあります。ポイントは、除湿です。生活するうえで快適な湿度は40~60%ぐらい。冷房の連続運転をするときも、まずは除湿を行い、40~60%に保ってみましょう。あとはサーキュレーターなどで空気をかき混ぜれば、さらっとした気持ちの良い空気が循環します。仮に室温が27度でも、湿度が50%台であれば、快適に眠ることが可能です。 冷房は贅沢品ではなく、生活必需品。うまく使いこなして猛暑が予想される今夏を乗り越えましょう。 <TEXT/八納啓創>
1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中
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