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「クローゼットを開けたら人が…」特殊清掃人が“困った遺品”を激白。一番面倒なのは…

注射器やパイプが見つかることも

 いかがわしい品などはご家族に報告をするか迷うようだ。依頼主が精神的に不安定になっている場合もあるので、かなり気を使わなくてはいけない。なるべく依頼主や遺品の元持ち主のプライバシーを侵害しないように一線を引くように心がけている。だが、どんなものでも残しておいてくださいと言われた場合は遠慮なく依頼主へと渡すことになる。 「違法薬物を接種するために使うであろう注射器やパイプなどが見つかることもあるんですよ。現物は出てこないのですが。そういうのも勝手に捨てると問題なので、一度、依頼主のご家族に許可を取るときは心が痛みますね」  そういった過激なもの以外に、皆が口をそろえて出てきて欲しくないと言う遺品がある。 「出てくると一番面倒なのが、耐火式の金庫です。大きければ大きいほど困ってしまいます。中に何が入っているかわからないし、大抵カギがどこにあるかわからず開けられないんですよ。そういう場合はカギを探して開けてから壊さなきゃいけないので、カギの大捜索が始まるんですよ。依頼主の許可を取って壊すという選択肢もあるのですが、壊すこともかなり大変なので……。また、現在は使用禁止のアスベスト素材で作られた金庫とかもあるので、自分たちだけの判断ではどうにも出来ない場合が多いです」

切っても切ることができない根深い問題

遺品整理の現場

遺品整理の現場。清掃後(ブルークリーン画像提供)

 基本的に金庫は、大きい工場へ持って行って処分するのだが、一台100キロ以上もある場合が多いので運び出すのにひと苦労だ。場合によっては、提携業社と共に油圧リフトやクレーン車を用いて作業を行う。 「どんな部屋でも、どんな遺品が出てきても僕たちはとにかくキレイにするのが仕事ですし、依頼主さんも悩みを抱えて依頼してくることが多いので、なるべく今の心境から少しでも前に進めるようなお手伝いができたらいいなと思っています。基本的には依頼された内容にきちんとコミットすることに全力を尽くしています」  孤独死問題と遺品問題は切っても切ることができない根深い問題である。一人暮らしの場合は、なるべく遺品になりそうなものは早めに整理をするか、残された者に負担が行かないような生きざまを心がけるしかないのであろうか。 <構成/山崎尚哉>
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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