更新日:2024年08月02日 19:46
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“厳格な家で育った女性”が顔に刺青を入れた理由。「妖精に近づくため」身体改造も

顔に刺青を入れ、一度だけ後悔した出来事が

 間を取り持った母親の功もあり、厳しい父親の溜飲も下がったという。現在では「実家ではタンクトップで過ごしてます」と語るほど、隠し事をしなくていい関係になった。だが一度だけ、理解者である母親を泣かせてしまったこともある。 「顔に刺青を入れたときは泣かれました。彫師の方からも、『もう一度よく考えた方がいい。顔に彫るのは人生を変えてしまうから、安易に決めないように』とアドバイスをいただきました。でも、やりたいものはやりたかったんですよね」  その日は一度持ち帰ったものの、後日決心が変わらないことを告げ、なつおさんの顔は墨を纏った。彫師すら一旦は保留を勧めた顔への刺青に、後悔はなかったのだろうか。 「顔に入れた模様はとても気に入っています。でも、一度だけ後悔をしましたね(笑)。実は有名ブランドのモデルとして内定していたのですが、大詰めの段階で企業側から『顔に墨が入っている人はNG』ということで実現しませんでした。日本において刺青は人口に膾炙したとはとてもいえないので、そういう弊害はあります」

「妖精に近づくため」身体改造を施す

なつお

耳の形にこだわりが

 なつおさんがここまで異形へ憧れる原点は何だったのか。 「幼少期から、ファンタジー系のゲームが大好きだったんです。そこに出てくる妖精が愛らしくて、当時から『将来はこうなりたい』と思っていました」  確かに、雪化粧を思わせる白さと身体の線の細さが、どこか人間とはかけ離れた印象を残す。だがさらに妖精に近づくため、なつおさんは身体改造を施した。 「鼻、目の美容整形をして、歯列矯正もやっています。ただ、かけた費用は刺青の方が全然多いと思いますね。  美容整形ではないものの、こだわったのは耳の形です。小学校中学年から妖精のように尖った耳になりたくて、方法を調べ尽くしました。私が調べた限りでは、日本では耳を尖らせる形成手術をやっている術者はいないようでした。そこで友人のツテを使って、西欧のそうした技術を持つ方が来日するタイミングで耳を現在の形にしてもらいました」
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術後の写真をあえてSNSで公開した意図
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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