更新日:2024年08月02日 19:46
ライフ

“厳格な家で育った女性”が顔に刺青を入れた理由。「妖精に近づくため」身体改造も

35歳くらいまでに“完成形”に近づけたい

なつお

大阪で開く予定のBarは日常に疲れた人にとっての止まり木を目指す

 幼い頃に憧れた妖精。その姿に近づくことに腐心するなつおさんはこんな青写真を描く。 「妖精になりたくて、一歩近づけたと思った瞬間に、また離れてしまったような感覚になり……の繰り返しです。身体にはまだ墨の入っていない部分も多いので、35歳くらいまでにもう少し完成形に近づけたいなと思っています。刺青で覆われた私の身体は、『好き』を集めた延長線上にあるんです。生活の糧についてもしっかり考えています。実は近日中に、大阪府で自分のBarを開業する予定です。日常に疲れた多くの人が憩う場所を作りながら、自分が理想とする形に近づけるように踏み出していくつもりです」  なつおさんが醸す雰囲気は不思議だ。神々しくも、近しくも感じさせる。1つの身体に神秘と普通が同居しながら、バランスを欠かない。それはきっと彼女が、他者への配慮を手放さなかったからだろう。生まれた姿と決別しても、携わってくれた人たちとは決別しない。他人は見た目で判断するかもしれないが、自分は見た目に縛られない。容姿の“進化”以上に内面が成熟したからこそ、異質でありながら柔和でいられる。ぴんと上を向いたなつおさんの耳が、そんな彼女の生き方を表しているかのように感じられて、凛々しく思える。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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