更新日:2024年08月30日 11:27
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路上生活する24歳ウーバー配達員、失業の原因は“親の借金”…生活保護を受けるも途中で辞退した理由

親ガチャが起点の負の連鎖

[親ガチャ貧困]の実態

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深刻な人手不足が続くなか、若い労働力が引く手あまたの一方で、なぜ、仕事にあぶれ、経済的困窮に陥る若者が出てくるのか――。それには生まれ育った環境が大きく影響しているようだ。少年犯罪や若者の逸脱行動を研究する社会学者の土井隆義教授が話す。 「’00年代初頭に子どもの貧困がクローズアップされましたが、その子どもが大人になったいわゆる『若年貧困2世』が、今の若年貧困の世代にあたります。これは、貧困の連鎖を絶ち切ることがいかに困難かを如実に物語っている」 「若年貧困2世」は、格差社会が産み落とした犠牲者と言っていいだろう。貧しい家庭に生まれたら、教育の機会を十分に与えられず、結果的に高い収入の仕事にありつけない……。そんな世代をまたいだ負の連鎖が、貧困問題の根底に横たわっているからだ。

意欲格差を生む“関係格差”と“体験格差”

土井氏によれば、人生を切り開こうという意欲の格差からも負の連鎖が生じるという。 「人格形成の時期において意欲を育む一番の刺激は他者との交流です。学齢期の部活動もその一端を担っている。年齢を越えた交流を得る格好の機会ですが、昨今では経済的理由で部活ができない子どもが増え、結果的に“関係格差”が意欲格差を生んでしまう」 土井氏によれば、“体験格差”もまた意欲格差を生むという。 「遊びや旅行などを通して得られる幼少期からの“体験”の蓄積も、意欲を育む貴重な土壌になります。しかし昨今では、何をして遊ぶにもお金がかかる。体験の機会を十分に得られない子どもは、リアルな世界の刺激に触れて意欲を育む機会を失ってしまう」 一方、ここにきて新たな貧困層が拡大する可能性がある。 「今の日本では、株価や物価の上昇もあり、社会の平均的な人々と比べて相対的に貧しい人々が生まれやすい状況にあるともいえる」(土井氏) 生まれた家庭環境でその後の命運が決まる親ガチャ貧困。子どもが自らの手で悪しき負の連鎖を断ち切る日は来るのか。罪なき若者の犠牲で成り立つ日本の明日はどっちだ。 【社会学者 土井隆義氏】 筑波大学人文社会系教授。専門は社会学、刑事法学。若者の逸脱行動に関する研究を行い、トー横キッズの問題にも詳しい
[親ガチャ貧困]の実態

社会学者の土井隆義氏

取材・文/週刊SPA!編集部
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