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「手の込んだ料理」が気軽に楽しめる一方で…キッチンカーに感じる“衛生面”という不安要素

オフィス街と住宅街で明確に分かれるニーズ

 オフィス街と住宅街でも事情が異なります。オフィス街の場合、そのエリアで働くビジネスパーソンがおもなターゲットになりますが、彼らのランチルーティンに入り込むことができればうまく展開していけるでしょう。ただし付近にどんな飲食店があるのか、ライバルになるお店はないのかなど、事前にもろもろの情報を把握しておく必要があります。オフィス街には古くから実用食を提供する飲食店はたくさんあるので、嗜好食のキッチンカーでも入っていきやすいのではないでしょうか。またそのエリアの昼人口も確認しておく必要があります。  一方住宅街では嗜好食よりも、惣菜などの実用食のほうが受け入れられやすいでしょう。食卓を飾るひと皿になりえるものが求められます。「ついで買い」のお客さんも多いでしょうから、スーパーの惣菜やコンビニのスイーツなどがライバルになってくるでしょう。

温度管理が徹底していないキッチンカーも…

 キッチンカーを利用する立場から気になるのは、「衛生管理がどこまで行き届いているか」だと思います。残念ながら、限られたスペースでは配慮が難しいこともあります。また、きちんとした「仕込み場所」を持っているかが重要なポイント。  加えて温度管理も大切です。私たち外食産業に関わる者には「熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいまま」という考えが根底にあります。しかし、お弁当などを販売する中食産業の場合は少し異なる事情が。「できたてアツアツ」のものならば、その温度をいかに早急に25度以下に下げることができるかという点が衛生管理上重要になります。しかしお弁当などはピークタイムにそなえて作り置きをしていることもあり、この点が不十分なお店も多いのではないでしょうか。    買った時点で、作ってからすでに30分以上経過していることも珍しくないはず。加えて、出店場所によってはその場ですぐ食べてもらえることもありますが、買ったあとすぐに食べてもらえる保障はありません。オフィス街ならば持ち帰って食べる人も多いでしょう。ランチのピークタイムを外して来店して、購入後30分ほど経ってから食べるという人もいます。これでは衛生上、とても安全とは言えません。
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利便性とワクワク感の向上にはリスクもともなう
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1993年創業の外食産業専門コンサルタント会社:株式会社ブグラーマネージメント代表取締役。これまで19か国延べ11,000店舗のコンサルタント実績。外食産業YouTube『永田ラッパ〜食事を楽しく幸せに〜』も好評配信中。

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