激辛チップスで「病院送りの高校生」を責めるのはお門違い。「食を提供する側の責任」を問う
外食産業専門コンサルタントの永田ラッパと申します。「日刊SPA!」では、これまで30年間のコンサルタント実績をもとに、独自の視点から「食にまつわる話題」を分析した記事をお届けしていきたいと思います。今回のテーマは、「激辛食」です。
7月16日、東京都大田区の高校で、「18禁カレーチップス」という激辛ポテトチップスを食べた高校生14人が体調不良を訴えて救急搬送される事故がありました。幸いにも皆さん軽症で、命に別状はないとのことですが、この報道に接したとき、私の中にいくつかの懸念が芽生えました。
この事故がきっかけで、「辛いもの=危ないもの」というイメージが定着してしまうのは危険です。適度な辛さは健康にいいというエビデンスがあります。辛い料理の多くはトウガラシが使われています。トウガラシの辛みの主成分であるカプサイシンは、摂取することで発汗が促されてダイエットや血液循環がよくなるなどの効果が期待できます。また善玉コレステロールが増えるというデータもあるのです。
しかし辛いものに強い人もいれば、そうでない人もいます。辛さの適量は人それぞれで異なるのです。食べたときに「辛い!」と思いながらも次のひと口を求めてしまうものは、その人にとって適量の辛さと言えるでしょう。逆に食べたあと、噴き出すように汗が出たり水をガブガブ飲んでしまい、次のひと口に手がのびない場合は、その人の辛さの適量を超えていると言えます。
「激辛」といわれるものは健康へのリスクも非常に高いのです。激辛食は、のど元過ぎれば安全というわけではありません。食道や胃や腸も一定のダメージを受けます。食道部分がヤケド状態になることもあれば、逆流性胃腸炎を発症してしまうケースや、喘息持ちの人のならばそれが悪化することもあります。
それでも数年前から「激辛ブーム」と呼ばれるものが続いています。「激辛女子」と呼ばれる女性も増えていますね。私は四川料理店やインド料理店、辛さを選べるカレーショップなどの存在を否定するつもりはまったくありません。辛いものが好きな人にとって、そんなお店は選択肢のひとつになっているでしょう。すでに述べた通り、辛さの適量は人それぞれです。自分の適量を把握して、辛い食べ物を楽しむというスタンスであれば問題はないのです。
辛さの適量は人それぞれだからこそ…
激辛食は「ハイリスク」であることを忘れてはいけない
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1993年創業の外食産業専門コンサルタント会社:株式会社ブグラーマネージメント代表取締役。これまで19か国延べ11,000店舗のコンサルタント実績。外食産業YouTube『永田ラッパ〜食事を楽しく幸せに〜』も好評配信中。
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