更新日:2024年12月20日 11:58
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日本の評価を落とす「薄っぺらい商売」…観光地で「日本人が食べたことがないメニュー」を提供する歪さ

ニーズに応えていないインバウンドビジネス

 一番重要なのは、お客さんが楽しんでいるかどうか、ということです。飲食業に限らず、サービス業に携わる者は、お客さんが何を望んでいるか、どうすれば楽しんでもらえるかということを大切に考えなくてはなりません。  私たちも外国へ行ったときは「せっかく来たのだから」と、そこでしか味わえないもの、その土地ならではのものを食べたいと思います。来日する外国人の多くもそれと同様に、日本の歴史や文化に触れたいと思っています。食についても、いままで知らなかった日本の伝統的な家庭料理や屋台料理を味わいたいと思ってやってくるのです。  ところが昨今のインバウンド向けの飲食店のメニューを見ると、串に刺さった鰻の上に牛肉やウニやイクラがのっかっている……といったような、日本人すら食べたことがないようなものを提供しているところが多いのです。それは果たしてお客さんの立場に立ったものなのでしょうか。外国から来たお客さんに、それが日本の伝統食などと思われてしまっても困るというものでしょう。

「外国人が本当に触れたかった日本食」は簡単なものが多い

 価格を上げるために、日本人が食べたこともないようなものを作って提供する。そこからヒット商品が生まれる可能性は否定しません。しかしそれは外国のお客さんで“実験”するべきではありません。  私は高価格のものを提供すること自体を否定するつもりはありません。しかし鰻に牛肉をのせてインバウン丼……などという名称で提供するような、安っぽい小手先のものであってはならないでしょう。  ではどんなものならばいいのか。例えば、日本人も憧れる神戸牛などの和牛。それがステーキでもすき焼きでも楽しめる、和牛の楽しみ方がすべて詰まったゴージャスなコースを設けるのです。そして「これは日本人にとっても贅の限りを尽くした和牛コースです。せっかくいらしたのですから日本の和牛料理を存分にお楽しみください」と、客単価1万円のお店が2万円で提供するというのは、私はアリだと思っています。  またこの1~2年で、日本に来た外国人にとって満足度の高い日本食は、ネットなどからもある傾向をつかむことができます。それは意外にも簡単なものが多いのです。寿司や刺身、鰻はもともと人気がありましたが、トンカツ、ジャパニーズカレー、煮魚、クリームコロッケなどは最近、外国人の評価が高まっています。こういったことをしっかり調べれば、奇をてらうことなく、ニーズに応えることはできるのです。
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日本の価値を下げてしまう「浅はかなインバウンドビジネス」
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1993年創業の外食産業専門コンサルタント会社:株式会社ブグラーマネージメント代表取締役。これまで19か国延べ11,000店舗のコンサルタント実績。外食産業YouTube『永田ラッパ〜食事を楽しく幸せに〜』も好評配信中。

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