エンタメ

調理中の“つぶやき”が話題の料理系YouTuber・けんた食堂「バズるために奇をてらう気はまったくない」

“けんた食堂構文”はどのように生まれたのか

——ところで、「整える」「〜〜するのが経済」「〜〜したって構わない」など、動画で流れるけんたさんのナレーションやつぶやきも、“けんた食堂構文”と呼ばれ、人気を博しています。 けんたさん:あれはもう、まったくの「素」ですね。実は僕、自分のこもった声がずっとコンプレックスだったんです。動画を作る際、人工的な声を入れることもできるじゃないですか。 でも、自分の作る料理に正直でありたいし、修正なしのライブ感を大切にするために、盛りつけるところまでしっかり入れ込みたいと決めたわけですから、自分の声も入れてやらなきゃいかんよなって。 それで、料理中のつぶやきをそのまま入れた結果、ありがたいことに人気になっているみたいで、嬉しいですね。 ——つぶやきながら料理されることに驚きました。 けんたさん:あれ、ふつうはしゃべりながら料理しないんですか? 僕、素材相手に「おっ、これはいいぞ」みたいに思ったことをつい口にしてしまうんですが、みなさんも同じだと思っていました(笑)。 そういえば、だいぶ前ですが、子どもの幼稚園のママ友さんがスーパーの奥のほうの売り場から僕がつぶやいている声が聞こえて「あ、けんたさんがいるな」ってわかったとよく言われていたんですよ。食材を手にとっては「これは安いぞ」とか「旨そうだわ」ってよくつぶやいていたらしく…(笑)。

一人で全部完結させるから、意味がある

——「けんた食堂」での発信を始めて、変化はありましたか? けんたさん:「料理に興味なかったけど始めました」という声を結構いただくんですが、そういう感想を聞くとやっててよかったなと思います。 あと、僕はいま長崎に住んでいるんですが、どうしても「情報発信は東京から」という先入観が我々のような地方の人にはあると思うんです。でも実際は全くそんなことなくて、「どれだけ地方に住んでいても、情報を届けることができる」ということを証明できたのが、自分としては嬉しいですね。 ——YouTube以外にもInstagramやTikTok、XなどいろんなSNSをやられてますよね。新しいSNSにもどんどん積極的に取り組まれているのが印象的だと思いました。 けんたさん:TikTokは自分では無理と思っていたんですが、完全に子供たちの影響で始めましたね。Instagramは自分の備忘録的に昔から利用していました。 いろいろなSNSをやることで、間違いなく相乗効果があると思います。まずそれぞれのSNSの利用者層が全然違うんですよ。 はじめはYouTubeだけで発信しようと思ってたんです。複数の場所で発信すると、ユーザーがばらけてしまうと思ったので。でもそんなこと全然なくて、SNS同士の流入もあるし、話題にもなりやすいし、いいことばかりでしたね。 ただ、僕、投稿するものに関してはすべてワンオペなんですよ。買い出しから調理、撮影、編集も全部僕一人でやっています。だからこそ、自分らしさが出せるのかなと感じていますが、その分ものすごく忙しいんです(笑)。 ——メディアへの露出が増えてお忙しいと思いますが、今後、動画の編集を他の方に任せる予定はあるんですか? けんたさん:「自分で作ったものを自分で撮って編集する」というスタイルは今後どう転ぼうと、崩すことはないと思います。やっぱりこういうのって、竹細工職人と一緒だと思っていて。一人で全部完結させるから、独特のまとまりが生まれるというふうに考えています。 だからお金をまる儲けしようとは考えていなくて、これからも引き続きこの体制でやっていくつもりです。
次のページ
PDCAサイクルを回して「洗練された料理」を作りたい
1
2
3
タイトル うちめし道

人気YouTuber待望の料理書

おすすめ記事
ハッシュタグ