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「一発屋芸人」が減った3つの理由。テレビの衰退とともに「滅びていく運命にあるのかもしれない」

ネタで演じる“キャラ”の仮面をすぐに剥がされる

 2つ目の理由は、芸人がすぐにキャラをはぎ取られてしまう風潮があるということだ。『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』はネタ番組なので、そこに出る芸人はネタを見せるだけであり、トークをすることはない。  どんな性格か、どんなことを考えている人なのか、といった素顔の部分を見せる必要はなかった。そのため、彼らは1つのキャラクターを貫いて、内面を見られない状態で世に出ることができた。  しかし、最近のバラエティ番組はトークが主体であるため、駆け出しの芸人がすぐにその素顔を暴かれてしまう。『ゴッドタン』(テレビ東京系)に最初に出たときのEXITがその典型だ。  髪を染めてギャル男のようなチャラさを売りにしていた彼らは、初めて出たバラエティ番組でいきなり「実は真面目」という素顔を暴かれてしまった。  それは、番組の性質上、避けられないことではあったのだが、そういう扱いをされると、芸人が1つのわかりやすいキャラクターを用意して、それを広めることができなくなってしまう。  つまり、「一発」が大きく打ち上がる前に別の角度ですぐに分析・解体されてしまうため、純粋な一発屋芸人が育ちにくくなっているのだ。  EXITの2人はキャラクターの裏にある本人たちの素顔に近い部分でも人を惹きつける魅力を持っていたため、その後も生き延びることができた。  ただ、これはまれなケースである。現在の環境では、キャラクターが独り歩きして爆発的に売れるようなパターンが生まれにくくなっている。

若者の“テレビ離れ”と、テレビの“子供離れ”

 3つ目の理由として、子供や若者のテレビ離れというのも考えられる。娯楽が少なかった時代には、多くの子供や若者が流行の発信源であるバラエティ番組を欠かさずチェックしていた。  だが、今はそのような風潮がなくなりつつある。テレビを見ないでYouTubeばかり見ている若い世代は珍しくない。  一発屋芸人が世の中に広がるためには、子供や中高生がその人のことを話題に出したり、真似したりするというのが不可欠だ。  今でもそういうことがないわけではないのだが、子供が見られる時間帯に放送されるネタ番組がほとんどないため、そこから芸人が出てくることがない。  ある程度まで売れる芸人はいても、それが大ブレークにまでつながらないのは、広げるための媒介となる子供や若者がテレビを見なくなっているというのが大きいのではないか。
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“一発屋”はテレビが生み出した幻影か
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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