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「一発屋芸人」が減った3つの理由。テレビの衰退とともに「滅びていく運命にあるのかもしれない」

“一発屋”はテレビが生み出した幻影か

松本人志とお笑いとテレビ

『松本人志とお笑いとテレビ』(中央公論新社)

 YouTubeやTikTokなどのウェブ系の動画メディアでは、見る人の嗜好に合った動画が自動的に表示されるようになっているし、気に入った動画があれば、その関連動画や同じクリエイターの動画を100本でも200本でも一気に見られる。  好きな動画を繰り返し見ることも簡単にできる。若者を中心に、人々の興味や関心がネットに移っている今の状況では、テレビから大きなムーブメントを起こすことが難しくなっている。  一発屋芸人が出てこないことは、必ずしもお笑い界にとって悪いことではない。そもそも「一発屋芸人」とは一種の蔑称であり、そのように名指しされて良い気分がする人はいない。  芸人が内面を掘り下げられる前に飽きられてテレビから消えてしまうというのは、本人にとっては不本意なことだろう。  ただ、一発屋芸人というのは、お笑い業界が盛り上がっていることを示す象徴的な存在だ。そういう人が出てきていないというのは、大衆文化としてのお笑いが危機に瀕しているということでもある。  一発屋芸人はテレビの衰退とともに滅びていく運命にあるのかもしれない。 <文/ラリー遠田>
お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで
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「ポスト松本」時代のお笑いと
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