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タワマンの“強固すぎるセキュリティ”が命取りに。救急救命士が「絶対助からない」と嘆く現場も

「もし通報者が応答しなかったら」と考えると…

――エレベーターの階数ボタンは押せましたか? たたら:このタワマンは変わった作りで、エントランスにロックがあり、さらに4機ほどのエレベーターがあるエレベーター室に入るところにもロックが……。管理人は18時までしか勤務しておらず、「もし通報者が応答しなかったら」と考えるとぞっとしました。 万が一そのようなことがあった際には、その時点から消防隊に応援要請し、彼らが保有している非常用エレベーターのキーを使用してフロアまで移動することになりますが、少なくとも10分以上は余分に時間を要することになります。玄関が施錠されていれば、更に救助は遅れます。 ――そして、「第三の関門」があるようですね。 たたら:部屋の玄関扉を開錠できないことはよくあります。今回は、同フロア別部屋のインターホンを片っ端から鳴らして、ドアの開錠をお願いして事なきを得ました。傷病者に接触する時間という意味合いでは、確実にタワマンのようなセキュリティが高い共同住宅のほうが長くなり、救命の可能性は戸建てに比して低くなります。隊員としてはタワマンの方が困るというのが本音です。

鉄壁のセキュリティが仇になる

――鉄壁のセキュリティが行く手を阻むのですね。 たたら:いわゆるタワマンに代表される高級マンションは、年々セキュリティが強固になってきています。今回出動したタワマンも、10数年前には無かったようなセキュリティが施されていました。 ――対策はありますか。 たたら:タワマンは、救急隊や救助隊の到着が戸建てや一般的なマンションよりも数分は遅れることを覚えておいてください。いざという時にご家族を助けるために、消防署が行っている救命講習を積極的に受講していただきたいと思います。 また、お一人の時に、119番通報後動けない状況になったら、管理人が居ない状況では救急隊員との接触までかなりの時間を要するということを覚えておいてください。セキュリティを強固にすればするほど救助の手が届く時間が遅れる可能性があると認識しておいてほしいです。
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「緊急解除ボタン」がない可能性もある
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大阪府出身。医療ジャーナリスト、ライター。人物取材を中心に病気と共に生きる人のライフスタイルや社会問題について書いています。
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