更新日:2025年06月20日 20:08
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高級ミニバンを“残クレ”で買う若者を皮肉った「残クレアルファード」制作者を直撃。正体は“15万円の中古トヨタ”に乗る40代サラリーマン

 トヨタの高級ミニバン・アルファードを残価設定クレジットで購入する家族についての曲「残クレアルファード曲」が、YouTubeの「破滅チャンネル」で330万回以上視聴(6月中旬現在)されて話題沸騰している。登場する子どもの名前は「羅偉翔(らいと) 天煌(あぽろ) 宝翔(だいや)」とキラキラネーム全開。さらに「手取り20万でもイケる」「ドンキでドヤる」「近所の川が俺たちのハワイ」などインパクト抜群の歌詞がエモいラップに乗って流れる中毒性のある動画。他にも、スズキ車に乗る「チー牛」、「残クレレクサス」など全方位にわたり手を広げている。  一体どんな人間が作っているのか? “中の人”を直撃した。  取材に応じてくれたのは、「破滅チャンネル」を運営する40代男性の“あつし”さん。本業はサラリーマンで、愛車は中古15万円のトヨタ・ポルテ。賃貸住宅で小学生の子どもを育てているという。

まったくの初心者がノートパソコン一台で動画制作

――チャンネル開設からわずか1か月で「残クレアルファード曲」などがバズっています。YouTubeを始めたきっかけは? あつし 子育てのお金が足りず、2021年頃から副業を始めようと思って、とりあえずブログ、インスタ、転売などいろいろやってみたのですが、どれもうまくいかなくて。もともと車やバイクをいじるのが好きで「まーさんガレージ」というYouTubeチャンネルをよく見ていたのですが、そこで募集していた切り抜き動画のチャンネルをやり始めたのがきっかけです。 ――すでに他のチャンネルを運営していたんですね。 あつし そうです。仕事は建築現場なので、あまりパソコンを使うことがなく、動画編集するためにノートパソコンを購入して、「まーさんガレージ」の方にも裏で支えていただきながら学んでいきました。今回は自分ひとりの力でどこまでやれるか挑戦してみたくて「破滅チャンネル」を始めました。投稿している音楽や動画はすべてAIで作っているのですが、AIを1週間も勉強していない状態で、ぶっつけ本番でやってみました。

残クレアルファード着想のきっかけは?

――「破滅チャンネル」は、ほぼAI素人の状態でスタートしたんですか。 あつし はい。私は素人なので、さまざまな生成AIソフトに14万円くらい課金して作っています。そうすれば、他よりも良い動画が作れるかなと思って。自分に才能があるとは1ミリも思っていないですし、何がバズるか分からないので、とりあえず「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」かなと。まずは100本くらい手当たり次第に投稿すれば、1本はヒットが打てるかなって。でも、わずか3本目で「残クレアルファード曲」がバズったので、正直びっくりしました。 ――「残クレアルファード」を着想したきっかけは? あつし 正直いうと、パクリですね(笑)。「いろはス」さんというYouTubeチャンネルで「残クレアルファード」の動画を発見したのがきっかけです。そこにX(旧Twitter)界隈で「残クレ」に関する面白いワードを拾って、それを自分で組み合わせて、最後にChatGPT で手直しして歌詞を作成しました。音楽は「Suno(スノ)」、画像は「Midjourney(ミッドジャーニー)」、動画は「Vidu(ビデュ)」という生成AIソフトを使っています。 ――歌詞の中の子供の「羅偉翔(らいと) 天煌(あぽろ) 宝翔(だいや)」というキラキラネームに爆笑してしまいましたが、これもAIですか。 あつし はい。ChatGPTにヤンキーっぽい名前をいっぱい出してもらった中に、「天煌(あぽろ)」があって、これはイケると思いました。「ぽ」がついている名前って、アホっぽいじゃないですか(笑)。
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「アルファード来たら、普通、道ゆずるやろ」は実際に言われた言葉
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1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿

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