大型バスのハイテク居眠り防止機能を体験
関越自動車道で発生した大型観光バスの事故を受けて、国土交通省は事故再発を防ぐための緊急対策を実施。ツアーを企画する旅行会社に交代運転手の配置計画などの安全に関する情報を、販売サイトに表示するよう義務づけた。利用者が増える夏場に向けた緊急対策ということだが、技術の力で事故を防ぐ手立てはないのだろうか?
西村直人=文 Text by Nishimura Naoto
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆1台約4500万円!運転スタイルを学習し居眠りを防止する大型バスを運転した
関越自動車道・藤岡JCT付近で発生した大型観光バスの事故。46人が死傷した高速ツアーバス事故からぐ2か月以上が経つ。
その間、国土交通省「安全対策強化に係る検討チーム」が、ツアーバス広告に交代運転者数表示を義務付けるガイドラインを策定したり、「過労運転防止のための検討会」が居眠り運転抑制装置など安全装置の義務化に対する検討をしている。
この大型観光バスの事故は、運転手の居眠りが直接の原因ながら、実は別の問題もあった。
事故を起こしたバスは、貸し切りカテゴリのうちライナー(別名ツアーバス)であったことが判明。高速道路を走る点では一緒なのだが、停留所に停まりながらダイヤ通りに運行する路線カテゴリの高速バスとは別物だ。
なにが言いたいのかというと、ライナーという業務形態そのものに法的不備はないが、これは熾烈な運賃競争から編み出されたアイデア企画で、薄利多売という経営スタイルでしか成り立たない厳しい商売だということだ。
「今の運賃体制では、安全性に対する投資を減らさざるをえない」と証言するのは、大手バス会社の現役運転手。利用者にとって「安い運賃≒高いリスク」ではシャレにならない。
こうした状況を踏まえて、今回は事故を未然に防ぐ装置を搭載した最新鋭の大型観光バスに試乗してみた。
【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/236682
【大型バスこぼれ話】
日野自動車の大型観光バス「セレガ」 などに、ADASの一つ衝突被害軽減ブレーキ(PCS)を横滑り防止装置と共に標準装備。「ふらつき検知機能」も装備し、検知した場合はPCSの作動警報を早出しする。万が一衝突した場合、事故後の被害拡大を防ぐため停止するまでブレーキをかけ続け、同時にハザードランプも点滅させる。そんな「セレガ」と首都高速で遭遇。車体右側後部に貼られたステッカーが識別点だ
― 大型バスのハイテク居眠り防止機能を体験【1】 ―
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