雑学

専門家に聞く[ママ友トラブル]はなぜ起きるのか?

― ドラマより怖い![ママ友地獄]の阿鼻叫喚【8】 ―

◆ママ友たちはなぜ地獄へ落ちていくのか

ママ友地獄を描いたドラマ『名前をなくした女神』が話題を呼んだが、調べてみると決してデフォルメではないことがわかった。そんな、ママ友トラブルについて、保育や子育てに詳しいジャーナリストの猪熊弘子氏に話を伺った

「私は’99年に起きた音羽幼児殺人事件(母親が息子と同じ幼稚園に通う園児の妹を誘拐・殺害した事件)の取材をしてきました。裁判で加害者である母親を見て、人付き合いが相当苦手な人物だったように感じました。彼女の周りの人は、彼女と相当付き合いづらかったのではないでしょうか。もちろん、これは極端なケースですが、人付き合いが不得意な人は、どこの世界にも必ずいます。でもママ友の場合、子供同士が仲良しだと、どうしても付き合わざるを得ない。だから双方ともに苦しんでしまうことになるんです」

 ごく普通の人でも、加害者にも被害者にもなり得る。

「どんな人間関係でも言えることですが、相手から過剰に頼られて『重い』と感じるようになったときがひとつの兆候。そうなったときは徐々に距離をとって足抜けをしていくといいでしょう。ただし、相手の自尊心を傷つけてはダメ。『旦那の実家に呼び出されて〜』などどうしても断れない体を装い、会う回数を減らしていくのが無難です」

 そもそも、「ママ友文化」はどうしてできあがるのか?

「例えば東京などの場合、子供を出産した直後には、7割が専業主婦になります。母親になるまでは『私』というものがあったのに子供ができた瞬間、『私』として生きられなくなり、『旦那は○○で働いている』など、夫や子供のことが主体となる。自分の人生が夫や子供という土台の上でしか成り立たなくなるんです。その結果、「土台」に何かあったときには、自分まで崩れてしまう。むしろ社会復帰した母親のほうが、『私』として生きられるので、ママ友トラブルは少なく感じます」

 では、トラブルを予防するためにはどうしたらよいのか。

「基本的に、ママ友は子供を介しての人間関係で、自分の友達ではないとわきまえること。そして、個人的なことは聞かれるまで言わないし、当然のことですが自分が聞かれたくないことは相手にも聞かないことです」

 それでは父親はどうすべきか。

あえて家族ぐるみの付き合いをするといいでしょう。もちろん、仕事で疲れているのに、それ以外の面倒なことに関わりたくない気持ちもわかります。でもちょっとだけガマンして踏み出せば、男性の“社会の目”がママ友の世界に入り込むことによって視点が変わり、夫婦で悩みを共有できるようになります。妻の育児ノイローゼやママ友トラブルの防止にも繋がるのではないでしょうか。しかも、近所に仕事の利害関係がない“パパ友”という存在ができると、仕事の愚痴から子供や妻の悩みまで話せストレス解消になる。それまで仕事一筋だったのに、すっかりパパ友とつるむようになった人も結構多いんですよ」

猪熊弘子

【猪熊弘子氏】ジャーナリスト。育児誌『AERA with Baby』(朝日新聞出版)編集統括やインターネット「All About」の子育てガイドとして、子ども・家族などをテーマに取材・執筆。『お父さんの面積』、『なんで子どもを殺すの?』など著書多数




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